2013 Fiscal Year Annual Research Report
低温プラズマ処理での非平衡相による鉄系材料の表面構造制御
Project/Area Number |
23560873
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
辻川 正人 大阪府立大学, 地域連携研究機構, 教授 (90172006)
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Keywords | オーステナイトステンレス鋼 / 拡散 / 表面改質 / 硬さ / 耐食性 |
Research Abstract |
低温プラズマ処理での非平衡相による鉄系材料の表面構造制御によって、これまで熱処理による硬化が耐食性を犠牲にすることなしには不可能とされていたオーステナイト系ステンレス鋼の表面硬化法が確立できた。この表面の炭素や窒素の拡散によるS相について初年度および2年度目にはこれらの硬化法について表面の構造化という見地から研究を進め、その膜厚(拡散硬化層)の拡大をめざし、基板の添加元素によって膜厚が大きくことを明らかにし、この添加添加元素の効果が炭化物形成能とはほぼ無関係であることを明らかにした。また、表面構造化をめざしてDLCコーティングの有効性を示すとともに、その密着性について検討した。 最終年度の本年度には、このS相による硬化が、硬化侵入型原子の過飽和の固溶による格子の拡張が、更なる過飽和を生みさらに格子を拡張するという機構によるものであることを明らかにした。その結果、置換型合金元素でも格子を拡張することができる元素による過飽和度の上昇(硬さの上昇)と、また拡散速度の上昇による膜厚の増加を説明した。 同時に、浸炭と窒化の組合わせによる2重組織の形成機構について、浸炭処理を窒化処理の後にした2重構造表面における表面炭素の過剰濃縮の問題を明らかにし、これがクロム炭化物の形成を促進し耐食性を阻害することを明らかにした。さらに、この濃縮層を効果的に除去するArプラズマ照射条件を確立した。 本年度に計画していた、第3の侵入型元素であるボロンの拡散実験は、その毒性を完全に実験から排除することに予想以上の時間がかかり準備段階である。続けて研究を進める。
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