2011 Fiscal Year Research-status Report
半凝固スラリーによる鋳造割れフリーアルミ合金の新しい連続鋳造プロセスの開発
Project/Area Number |
23560895
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
上谷 保裕 富山県立大学, 工学部, 准教授 (60099405)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 半凝固連続鋳造 / 7075アルミ合金 / 過共晶Al-Si-Cu-Mg合金 |
Research Abstract |
外接円径160mmで厚さが20mmの純銅製正八角形ロータと外接円の1/8円弧長さのチルブロック及びロータ回転用の機械式変速1.5kWモータから構成されるプロトタイプの半凝固スラリー製造装置を製作し,先ず,約500gの過共晶Al-Si系(Al-15%Si-4.5%Cu-1.1%Mg)合金で固相が細かな粒状で初晶シリコンも微細分散した半凝固スラリー製造を,溶湯温度(Tm),ロータ回転速度(Vr)及び,ロータとチルブロックの隙間(Sg)を種々変えて試みた.その結果,Tm=590℃,Vr=150rpm,Sg=7mmの条件で,凝固した半凝固スラリー全体が,固相が平均径約50ミクロンメータで粒状化するとともに,初晶シリコンも平均径で10ミクロンメータとなって均一分散しており,目的とする半凝固スラリーが製造可能となった.一方,7075合金についても,過共晶A-Si系合金と同様に条件を振って固相が細かい半凝固スラリー製造を試みた結果,Tmだけが660℃と過共晶A-Si系合金と異なって同合金の液相線温度の20℃程度高めの溶湯温度で,それ以外は過共晶合金と同じ条件で最も固相粒径が細かい半凝固スラリーが製造可能となった.しかし,目標値とする50ミクロンメータよりも2~3割大きく,微細化にはロータとチルブロック間隙を溶湯が通過する際の冷却効果を高めることが考えられ,チルブロックの円弧長さをさらに長くして冷却能を高めて製造を試みる必要がある.上記実験と平行して,年度後半から,連続鋳造に向けて,ロータ回転速度制御用とトルクを強化するために,インバータ方式による回転速度制御を行う3.7kWモータへの交換と連続鋳造機への半凝固スラリー供給が可能となる改造とを行って新しく半凝固製造装置を製作した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
7075と過共晶Al-Si系合金の両方ともに溶湯量が500gの場合には,目的とした半凝固スラリーが,本ロータ回転処理方式によりほぼ製造可能となったが,当初計画の連続鋳造に必要な5kg以上の連続製造条件の確認が,試作した半凝固スラリー製造装置の不具合が多発したために修理や改修に手間取ったために行われていない.また,実績概要で述べたように,7075合金では少し固相粒径が大きいので,できればさらに微細化が必要であり,次年度で先ず,試みる必要があることが,達成度が少し遅れていることの理由である.
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Strategy for Future Research Activity |
過共晶Al-Si系合金では目標とする半凝固スラリーのバッチ的な製造条件が見いだされた.これに対して,7075合金では半凝固連続鋳造のためには平均固相粒径がもう少し小さい方がより効果的と思われ,今後は先ず,当初計画に追加した実験として,チルブロック円弧長さやロータの角数が固相の粒径や形態に及ぼす影響を調べて一層の固相の微細化を試みる.次に,上記追加実験と当初計画が少し遅れているために,次年度では,7075合金のみを対象として,上記追加実験で得られた半凝固スラリーの連続製造条件の確認を行い,この条件を基に,10kg程度の溶湯で直径50mmビレットの半凝固連続鋳造を行い,表面及び内部の健全性が高いビレットの鋳造条件を調べる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用予定の研究費が89万円程度あるが,成果発表のための渡航費用が校費でまかなわれて未使用となったことと,半凝固スラリーの連続製造条件の確認実験ができなかったために各種消耗品の購入が控えられたことによるものであり,次年度は,実験に必須の温度測定記録器のオーバーホールと,7075合金の半凝固スラリーの連続製造条件確認実験に必要な物品購入に充てる.また,チルブロック円弧長さやロータの角数による固相の微細化を試みの費用にも充てる.引き続き,当初計画の7075合金の半連続鋳造を試みるが,そのための消耗品費や人件費及び,国際会議での成果の一部発表のための渡航費などに当初予定の研究費を使用する.
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Research Products
(1 results)