2011 Fiscal Year Research-status Report
反応プロセスを対象とした自動研究開発システムの開発
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23560919
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
高橋 崇宏 静岡大学, 工学部, 助教 (50324330)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | CVD / 反応機構 / 遺伝的アルゴリズム / 反応工学 |
Research Abstract |
本研究では、半導体デバイスの製造に用いられているCVDプロセスを対象とし、研究開発の高速化、省力化を目的として、CVD装置内部における反応機構の解析を、人手を介さず自動的に行うシステムの開発を行っている。本年度は、非線形反応など複雑な反応系に対応するために、自動解析アルゴリズムの性能向上を目指した。具体的には、反応機構モデルの提案、評価を行う推論エンジン部分と、反応機構モデルの的確性を定量的に評価するために必要な実験結果の予測値を計算する仮想反応器(シミュレーター)部分に、既往の研究で高い探索能力が報告されている、いくつかの遺伝的アルゴリズム手法を導入して、パラメータの最適化を行い、自動解析システムの解析能力を評価した。 その結果、既往の研究報告からの予測とは相反し、計算コストと解析能力の両面で突出したアドバンテージを持つアルゴリズムがないことがわかったが、実数値遺伝的アルゴリズムの範疇に属するものは、コストパフォーマンスの観点で比較的バランスが良く、有望であることが示された。特に、比較対象としたアルゴリズムの中で、最新の実数値遺伝的アルゴリズムであるREX-star + JGG法が、総合的に最も優れていることを究明した。そして、このアルゴリズムの導入により、システムの解析能力の強化、高速化を実現することができた。さらに、REX-star + JGG法の特徴を生かした、解析アルゴリズムの開発、染色体のコーディング方法の開発を行うことにも成功し、システムの解析能力の向上に貢献できた。 一方、構造の複雑な商用大規模CVD装置を自動解析システムの解析対象とすることを目指して、流体解析ソフトウェアの導入行い、自動解析システムの汎用化のための開発を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の結果として、採用するべき最適化アルゴリズムに目処がついたものの、予定していた非線形反応系への対応するプログラムは、システムに未実装である。また、流体解析ソフトウェアは導入、動作環境の整備が完了したところで、枚様式などの構造の複雑な商用大規模CVD装置での計算、自動解析システムとの連携には至っていない。研究の達成度が遅れることとなった原因は、既往の研究報告からの予測と相反し、自動解析システムに導入する上では、万能なアルゴリズムは存在しないことが分かり、採用に適した実数値遺伝的アルゴリズムの評価、選定や、新たな利用方法の開発に関して多くの新しい知見を得ることができたものの、予想外の時間を要したためである。
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Strategy for Future Research Activity |
REX-star + JGG法の特徴を生かした解析アルゴリズムの開発を引き続き行っていき、非線形反応系への対応を目指す。その一方で、遺伝的アルゴリズム以外の最適化アルゴリズムについても評価の対象を広げることで、システムの解析能力の飛躍的な向上の可能性を探っていく。また、流体解析ソフトウェアと自動解析システムとの連携については、CVDプロセスの計算を早急に開始し、ソフトウェアメーカーの協力を仰ぐことにより、効率よく開発を行っていく。さらに、実プロセスでの自動解析システムの評価を目指して、CVD装置の製作を開始する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
システム開発環境の維持、強化を目指し、ワークステーションとその維持部品、流体解析ソフトウェアのメンテナンスなどに研究費を使用する。本年度に得られた知見を報告するために、国内外での学会発表、論文の作成にも研究費を使用する。さらに、真空装置維持部品を購入し、CVD装置の製作に必要な準備も行っていく。
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