2013 Fiscal Year Research-status Report
MorphingFlapによる低騒音高揚力装置の研究
Project/Area Number |
23560956
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
谷 泰寛 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80380575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
麻生 茂 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40150495)
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Keywords | 航空宇宙工学 / 高揚力装置 / 低騒音化技術 / Morphing |
Research Abstract |
本研究は、航空機の離着陸時の騒音低減に着目して、騒音低減と低抵抗特性を併せ持つ高揚力装置として、Flap-Edge-Noiseの低減を可能にする柔軟かつ連続的な形状変化を行うモーフィング技術を応用したMorphing Flapの騒音特性を明らかにするものである。本年度はまず、前年度までの成果を踏まえて、低騒音・高揚抗特性を目指したMorphing flap形状の設定を行い、系統的な把握のために形状のパラメトリックな定義を行った。 前年度までに製作した風洞実験模型を改修して、新たに創成したMorphing flap形状の模型を製作し、騒音及び空力特性の計測を九州大学低騒音風洞において実験を行った。騒音の音源探査計測にあたっては、幅広い周波数領域の騒音検出を行うためにマイクロホン配置の見直しを行い、直径の異なる3種類のマイクロホンアレイを製作した。また、音源探査解析手法に改良を加え、前年度までよりも高い解像度で騒音源の検出を行い、フラップ端部における騒音発生メカニズムを明らかにした。また、フラップ端部での後流での流れ場計測を行うために、5孔ピトー管と多点圧力センサによる空間的流れ場計測装置を構築した。 数値的研究では、Morphing flap舵角形状による揚抗特性の変化を確認し、風洞試験で得られた騒音特性と揚抗特性の関連性に関する知見を得た。また、実機への適用性を考慮したMorphing flap機構についての検討を進め、スパン方向に連続的な舵角変化を実現するためのフラップ部リブ変形機構と舵角駆動機構を考案・製作し、実機主翼での実現性と課題を明らかにした。 以上により、騒音低減に有効であるMorphing Flap舵角分布が明らかとなり、その成果について、国内の学会及び海外での学会で成果発表を行うとともに、webページによる公表を行い、成果を社会に発信した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度の成果を元に、今年度は、新たなMorphing flap形状の創成、音源探査精度を改善したマイクロホンアレイによる騒音計測風洞実験の実施、数値解析、モーフィング変形機構の検討について、それぞれ研究を実施し、進捗が得られた。 しかし、本研究の風洞試験で使用している、九州大学低騒音風洞実験施設において機器の破損により施設が稼働停止となり、運用制限やその後の修理を含めて、本年度の風洞稼働日数が大幅に減少した。この風洞実験施設は、他教育研究プロジェクトと共用で使用しており、使用不能となった期間に対するスケジュール調整のために、本研究に十分な日程を確保することができなかったため、風洞試験に遅れが生じた。 このため、平成25年度で実施予定であった風洞試験とそれに基づくMorphing Flap形状への反映というサイクルを回すことができず、研究の完成が遅れる結果となった。 なお、現在、風洞の修理は完了しており、26年度の風洞試験実施には問題が無いことを確認しており、26年度中に当初計画どおりの達成度は得られる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの成果を元に、風洞実験模型を改修して、新たに創成したMorphing flap形状の模型を製作し、騒音及び空力特性の計測風洞実験を行う。騒音の音源探査計測にあたっては、前年度に改良したマイクロホンアレイと解析法により、高精度な音源探査計測を実施し、5孔ピトー管及び熱線風速計による翼の後流での流れ場計測を行うことで、フラップ端部での騒音発生と流れ場のメカニズムを明らかにする。 数値的研究では、Morphing flapまわりの実機レイノルズ数における流れ場解析を行い、風洞実験条件と実機飛行条件における現象の差異と実機での有効性の確認を進める。 また、Morphing flap機構を組み込んだ主翼変形機構模型を作成し、実機主翼での実現性の確認を行うとともに、必要なメカニズムや材質を明らかにすることで、実機に適用した場合のシステムや重量、コスト等へのインパクトを明らかにする。 全研究成果をまとめて、成果報告書を作成するとともに、国内外の学会で成果発表や論文投稿、webページによる公表を行い、成果を社会に発信する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に使用予定であった九州大学低騒音風洞が機器の破損により稼働停止し、応急措置を施したものの運用に制限が生じた。さらに、その修理のために稼働が停止した期間が発生し、他プロジェクトとのスケジュール調整のために使用日程を確保できず、本来実施すべき試験ケースが未消化となった。 そのため、風洞試験結果を反映した、最終形状の風洞試験模型製作と計測、主翼変形機構模型の製作が行えず、未使用額が発生した。 平成25年度に行った風洞試験結果を反映した、最終形状の風洞試験を行うために、模型製作のための資材等を購入する。その後、風洞試験におけるデータ取得を行う際の消耗品等の購入、また、モーフィング主翼変形機構模型の製作のための部品を購入する。 また、これら風洞試験等の26年度の成果を発表するために、シンポジウム参加のための旅費、参加費を支出す計画である。
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