2012 Fiscal Year Research-status Report
露天掘り鉱山採掘跡地におけるバイオマス燃料の安定供給を目指した環境修復工法の開発
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23560986
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
島田 英樹 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70253490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹岡 孝司 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20444862)
松井 紀久男 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30136535)
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Keywords | リハビリテーション / 採掘跡地 / 生育基盤 / 環境修復 / 透水性 / 転圧 / 埋め戻し施工 / インドネシア |
Research Abstract |
インドネシアは年間約3,000万tの石炭を我が国に輸出している日本第2位の石炭輸入先である。インドネシアでは石炭のほとんどを露天掘り採掘により生産しているため、開発・生産に伴い周辺環境に影響を与えることは避けられず、熱帯雨林の消滅、水の汚染、大規模なすべりといった種々の環境問題の発生が懸念されている。このため、環境負荷低減型採掘法の検討はもちろんのこと環境修復のための効果的な対策を開発初期段階より検討・策定する必要があり、適切なリハビリテーションプログラムの設計および実施が極めて重要である。 一般に、採掘跡地は植物の生育基盤としては劣悪な条件にあるため、採掘跡地の再生のためには最終的な緑化に向けた適切な指針が必要となる。多くの露天掘り鉱山では開発中に剥土された表土を保管・管理しており、これを植物の生育基盤として採掘跡地に埋め戻される。また、開発に伴って剥土された表土には土壌有機物や土壌微生物が豊富に含まれているため、十分な土層厚の表土を埋め戻すことが良質な植物の生育基盤の形成につながるためでもある。しかしながら、実際の操業過程では重機などによる転圧により透水性が著しく低下するといったことや地盤が硬くなることで植物の根の伸長を抑制する原因になるため、これらは植栽植物の枯損の主因として挙げられている。そのため、現場における表土の取扱いには十分に留意し、適切な埋め戻し施工を行う必要がある。 そこで、埋め戻された表土について植物の生育基盤としての評価を行った結果、いずれの値も良好であることが判明し、KPC鉱山では重機などによる締固めを最小限とした表土の埋め戻しが行われていることが確認された。しかしながら、埋め戻された表土には掘削に伴う異種の岩石や廃石等が混合されており、埋め戻される表土の品質管理まで考慮した施工を行う必要があるため、この点に着目して研究を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我が国の石炭消費量は年間約1億6千万トンで、ほぼ全量を輸入に頼り、この量は世界全体輸入量の22%を占めている。主な用途のひとつは火力発電所の燃料であるが、ここで発生するフライアッシュの処分が大きな問題となりつつある。現在、その再資源化は多方面から努めてはいるものの、需要量は発生量に追いついていないのが実状である。一方、発展途上産炭国では、露天掘り石炭鉱山の跡地が放置され、切羽跡内溜水の酸性化による地下水汚染、剥土堆積場の崩壊や流出などの環境破壊が発生しており、この環境修復技術の確立が要求されている。この中でも、廃犀のスレーキング性が大きい場合、環境修復の際に種々の工夫が必要となる。 廃犀を環境修復に適用する場合、 NAFとPAFでは埋め戻し方法が異なる。インドネシアKPC鉱山では、3種の方法が採られている。いずれの方法でも、酸性鉱山排水が発生する可能性のあるPAFを水や空気に暴露されないように最深部に埋め戻し、その上部を覆うようにNAFを埋め戻される。なお、この3種の方法の選択については、NAFの量やコスト等を考慮して判断される。このようにNAFと判断された廃犀は、PAF層をカバーする酸性鉱山排水が発生しない安全な材料として埋め戻される。現在までのところ、これらの方法では、降雨等によって埋め戻されたNAF層がスレーキングにより著しく劣化すれば、雨水がPAF層まで浸入して、結果的に酸性鉱山排水が発生する恐れがあり、また地表面近傍の浸食・流出等を引き起こす可能性があることや植物の生育に多大な影響を及ぼすことを明らかにしており、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。 今年度は最終年度であるため、これらのことを総括する予定であるが、植生に関する内容の中で石炭燃焼灰を植生基盤にすることは現場的に厳しく、この点のみが今年度中に達成できない可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
我が国の石炭消費量は年間約1億6千万トンで、ほぼ全量を輸入に頼り、この量は世界全体輸入量の22%を占めている。主な用途のひとつは火力発電所の燃料であるが、ここで発生するフライアッシュの処分が大きな問題となりつつある。現在、その再資源化は多方面から努めてはいるものの、需要量は発生量に追いついていないのが実状である。一方、発展途上産炭国では、露天掘り石炭鉱山の跡地が放置され、切羽跡内溜水の酸性化による地下水汚染、剥土堆積場の崩壊や流出などの環境破壊が発生しており、この環境修復技術の確立が要求されている。この中でも、廃犀のスレーキング性が大きい場合、環境修復の際に種々の工夫が必要となる。そこで、環境修復における埋め戻し材の一部に石炭燃焼灰を利用した場合、酸性水化や表面浸食の抑制、軟弱地盤や汚染土壌の改良にどの程度の効果が得られるかについて室内試験による検討を行う。このことを実施するために下記の検討を行う。また、新しく開発した環境修復工法の斜面安定解析を行い、インドネシアの露天掘り石炭鉱山に提案・導入する。なお、この研究ではフライアッシュセメントの有害成分が植生にどの程度及ぼすかに関する検討は費用的にも時間的にも不可能であるので除外する。 1)フライアッシュを大量に使用した環境修復工法の斜面安定解析を行う。 2)岩盤の浸食性、汚濁性とスレーキング性の評価法を確立する。 3)バイオマス燃料に利用できる植物(ヤトロファ等)を植栽でき、継続的に生産できる新しい環境修復工法を提案する。 4)研究成果を国内外の学会で発表するとともに研究成果の取りまとめと報告書作成を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(9 results)