2013 Fiscal Year Annual Research Report
地殻物質-熱水間元素分配実験および野外調査に基づく熱水性金属鉱床の生成機構の解明
Project/Area Number |
23560989
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
内田 悦生 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40185020)
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Keywords | 熱水 / 元素分配 / タンタル石 / コルンブ石 / 花崗岩 / タイ / 黒雲母 |
Research Abstract |
2013年度では、2011年度から継続してタイの花崗岩類の調査を行うとともに、超臨界条件下における鉱物―塩化物水溶液間における元素分配実験としてタンタル石およびコルンブ石を対象に実験を行った。 1.タイの花崗岩類に対する調査は、2011年度および2012年度に南部および中部地域において行っている。2013年度ではタイの北部にあたるターク周辺に分布する花崗岩類を対象に調査を行った。この地域には、東部花崗岩類および中部花崗岩類が分布している。ターク付近の東部花崗岩類は今までに調査を実施した南部および中部地域の花崗岩類とは異なり磁鉄鉱系を示すものが多く認められた。それに対し、中部花崗岩類は、南部および中部地域の花崗岩類と同様にイルメナイト系に属する。花崗岩に含まれる黒雲母のAl含有量は、他の地域と同様に東部花崗岩類において低く、中部花崗岩類において高くなっている。このことは、東部花崗岩類に銅・鉛・亜鉛・モリブデンを伴い、中部花崗岩類には錫・タングステンを伴う傾向と調和的な傾向である。なお、いずれの花崗岩類においてもEuの負の異常が認められた。 2.タンタル石およびコルンブ石を対象とした超臨界条件下における多元素同時分配実験は、500~800℃、1kbの条件下で行った。実験では、マンガンタンタル石および鉄コルンブ石を出発物質とし、2M塩化物水溶液との間におけるNi、Mg、Co、Zn、Fe、MnおよびCaの分配を行った。実験の結果、いずれの場合も、Niは正の分配異常を、Znは負の分配異常を示す傾向が得られ、6配位席をもつ他の鉱物と同様な傾向が得られた。しかしながら、Mgに関しては高温で正の分配異常を示し、温度の低下とともに正常になる傾向が得られた。この傾向は、同じく鉄とマンガンの固溶体を成し、複合酸化物である鉄マンガン重石に対して得られた傾向と同じである。
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