2011 Fiscal Year Research-status Report
ケーブル・イン・コンジット導体への捩り付加による超伝導特性改善の原理実証
Project/Area Number |
23561004
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
今川 信作 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (10232604)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ケーブル・イン・コンジット / 超伝導 / ねじり / ひずみ |
Research Abstract |
超伝導線を模擬する線材を検討した。ひずみによって電気抵抗が変化することを利用して各模擬線材の平均ひずみを求めることを計画しており,銅合金系の中では高い抵抗率を有するホルマール絶縁マンガニン線を第1候補として数種類の抵抗線を比較し、最適な模擬線材を検討した。マンガニン線よりも3倍程度の抵抗率を有するニクロム線や鉄クロム線も有力な候補として機械特性を整理した。 既設のひずみ計測器を利用するためには,各々の抵抗値を120オーム以上とすることが求められており,長さ1 mのマンガニン線の場合に120オーム以上の抵抗値を得るためには直径0.07 mm以下の細い線材を使うことが必要となる。実際の超伝導素線の直径は1 mm程度であり,それと同等の直径のマンガニン線を使用する場合には一本当たりの抵抗値が1オーム程度となることから,このように小さい抵抗値の場合のひずみ計測の可能性を調べるため,基礎的な実験の準備を進めた。 並行して,ケーブル・イン・コンジット模擬導体と試験治具を設計を進めた。模擬導体は,線材の直径を1 mmと仮定して設計を進めた。導体中心には冷却チャンネルを模擬して直径4 mm程度のステンレス配管を配置し,その回りに3本撚り×3の撚線6セットを0.2 m程度のピッチで巻き付けてコンジットに挿入する設計とした。コンジット材にはステンレス配管を使用し,撚線挿入後に40%以下のボイド率(断面内の空隙の割合)となるように外部から加圧して縮径する計画であり,その加工法を検討した。試験治具については,模擬導体のコンジット端部フランジの片端を固定し,もう片方のフランジに回転および長手方向の圧縮・引張荷重を制御できるような拘束治具の設計を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
核融合装置用の超伝導マグネットには大電流導体が必要であるため,Nb3Snなどの超伝導線材を多重に撚り合せたバンドル導体を金属ジャケットに収納したケーブル・イン・コンジット導体が実用化されている。本研究の目的は,このケーブル・イン・コンジット導体において,高温での生成熱処理からの冷却過程で生じる残留圧縮ひずみをコンジットに捩りを加えることにより軽減し,超伝導特性を改善する方法を原理実証することである。そのため,超伝導線材と同等の機械特性を持つ高抵抗線を模擬導体としてケーブル・イン・コンジット導体を作成し,その抵抗変化から線材の平均ひずみの変化を調べる計画である。1年目にケーブル・イン・コンジット導体の製作までを計画していたが,最適な材料選定とひずみ計測の原理実証に多くの時間を費やしたために,遅れが生じている。導体と試験治具の設計は進展しており,遅れは挽回できる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず,模擬導体と試験治具の製作を進める。この模擬導体のコンジット端部フランジの片端を固定し,もう片方のフランジに回転および長手方向の圧縮・引張荷重を制御できるような拘束治具を準備する。まず,各撚線間の絶縁抵抗を測定して撚線絶縁被覆の健全性を確認し,絶縁不良の撚線は測定対象から除外する。次に,コンジット長手方向に弾性範囲内で圧縮と引張荷重を加え,その際のひずみゲージと撚線抵抗値の変化を調べることにより,端部で撚線がコンジットにしっかりと固定されていることとひずみゲージや撚線抵抗計測の健全性を確認しておく。続いて,コンジット端部フランジの片側を回転させることによりコンジットを捩り,その際のひずみゲージと各撚線の抵抗値の変化を測定し,回転角度と撚線に生じるひずみの関係を調べる計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1本目の模擬導体とねじり試験治具を製作して実験を行い,次に,改良したケーブル・イン・コンジット模擬導体を製作して,再実験を行う。また,本研究に関連する最新の研究を調査するため,外国に1回,国内に2回の出張を予定している。
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