2012 Fiscal Year Research-status Report
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23570003
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小内 清 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 研究員 (00402454)
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Keywords | 生物時計 / 概日リズム / 生物発光 / 生物発光リアルタイム測定法 / 原始紅藻 / ルシフェラーゼ |
Research Abstract |
C. merolae(シゾン)において、生物発光リアルタイム測定法でリズム変異体を効率良くスクリーニングするために、綺麗で再現性の良い発光リズムを示す発光株の確立を進めた。まずシゾンの核ゲノムのコドン使用頻度に最適化した高発光型ルシフェラーゼ遺伝子を人工合成し、DNAアレイのデータから高発現で概日リズムを示ことが予想される9つの遺伝子を選抜した。次に、これら9種類の遺伝子の発現をそれぞれ生物発光としてモニタするための発光レポーター遺伝子と、それをシゾンの核ゲノムに組み込むためのベクターを開発した。そして、9種類の発光レポーター遺伝子それぞれを、シゾンの核ゲノムに相同組換えによって遺伝子移入した。9種類の発光レポーター遺伝子それぞれについて、シゾンの核ゲノムに設計通りに組み込まれた発光株の選抜を行い、9種類の発光レポーター遺伝子それぞれに対して、設計通りに組み込まれている形質転換株体を得た。これらの発光株の生物発光の検出と発光パターンを調査した結果、概ねDNAアレイの発現プロファイルと一致する発現レベルとパターンを示した。また、生物発光リズムの調査を行ったところ、概日リズムが検出できたレポーター遺伝子とできなかった遺伝子があった。しかし、概日リズムを示す発光株においても、ハイスループットスクリーニングを精度良く行うためには、リズムの綺麗さが十分ではなかった。このため、測定条件や培養条件等の詳細な条件検討を進めた。 その他の研究として以下の4つを実施し、論文を発表した。(1)藍色細菌における生物時計による水チャンネルの発現制御に関する研究、(2)藍色細菌の時計タンパク質KaiBの構造変化と時計機能との相関の解明、(3)藍色細菌の時計タンパク質SasAの時間情報出力の役割の解明、(4)イネにおける糖代謝遺伝子の発現制御の解析。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予想に反して、発光レポーター遺伝子をシゾンのゲノムへ遺伝子移入する作業効率が劇的に悪かったため、発光株を確立するために、多大な時間を費やしてしまった。しかし、様々な最適化を行うことで、問題は解決できた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)リズム変異体の大規模スクリーニングと分離した変異体の分類: まず、開発した発光レポーター株でスクリーンイングの条件を検討し、野生型発光株をEMS(ethyl methane sulfonate)で処理して突然変異を誘発する。そして、「ハイスループット生物発光リアルタイム測定システム」を用いて、遺伝子発現を生物発光として連続的に自動測定する。リズムの周期や位相(タイミング)および振幅に野生型と顕著な差異が観察される変異体を多数分離し、表現型に基づいて分類する。 (2)変異体の全ゲノム配列解析による原因遺伝子候補の同定: 変異体が十分な個数(例えば100個)分離収集できた時点で、変異表現型が類似した各変異体からDNAを調製し、それぞれに異なるタグDNAを付加して(DNAにバーコードラベルを付加して)プールし、次世代シーケンサーを使って全ゲノム配列を解析する。標準株と異なる塩基(主に置換)を全て抽出し、各遺伝子座上に変異をマップする。リズム変異に関係する重要な遺伝子であれば、同一遺伝子座上に何度も塩基変化が出現すると予想できるので、そのような塩基変化が何度も見つかる遺伝子が時計に関係する遺伝子(時計遺伝子を含む)の候補である。 (3)特定した遺伝子が時計遺伝子であることの確認: 各変異体に野生型の原因候補遺伝子を移入し、変異表現型が野生型に戻ることを確認し、候補遺伝子が変異体の原因遺伝子であることを確認する。また、遺伝子ターゲッティングによる遺伝子破壊体や過剰発現体を作製し、リズム表現型や自身の遺伝子発現、候補遺伝子相互の発現制御などを調べることで時計遺伝子であることを確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
リズム変異体のハイスループットスクリーニングの条件検討やスクリーニングに必要な試薬類や器具類を購入する。目的に適う突然変異体が得られれば、次世代DNAシーケンサを使用した全ゲノム解析を行うので、そのための試着類を購入する。また、次世代DNAシーケンサの利用料金を支出する。
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[Journal Article] The promoter activities of sucrose phosphate synthase genes in rice, OsSPS1 and OsSPS11, are controlled by light and circadian clock, but not by sucrose.2013
Author(s)
Yonekura M, Aoki N, Hirose T, Onai K, Ishiura M, Okamur M, Ohsugi R, Ohto C
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Journal Title
Frontiers Plant Sci.
Volume: 4
Pages: article31, 1-8
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] The roles of the dimeric and tetrameric structures of the clock protein KaiB in the generation of circadian oscillations in cyanobacteria.2012
Author(s)
Murakami R, Mutoh R, Iwase R, Furukawa Y, Imada K, Onai K, Morishita M, Yasui S, Ishii K, J. Valencia S., Uzumaki T, Namba K, and Ishiura M
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Journal Title
J. Biol. Chem
Volume: 287
Pages: 29506-29515
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Aquaporin AqpZ is involved in cell volume regulation and sensitivity to osmotic stress in Synechocystis sp. strain PCC 6803.2012
Author(s)
Akai M, Onai K, Morishita M, Mino H, Shijuku T, Maruyama H, Arai F, Itoh S, Hazama A, Checchetto V, Szabò I, Yukutake Y, Suematsu M, Yasui M,. Ishiura M, Uozumi N
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Journal Title
J. Bacteriol.
Volume: 194
Pages: 6828-6836
DOI
Peer Reviewed
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