2013 Fiscal Year Annual Research Report
適応的な表現型可塑性間の環境依存的な配分に関する研究
Project/Area Number |
23570036
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
道前 洋史 北里大学, 薬学部, 助教 (70447069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸田 治 北海道大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (00545626)
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Keywords | 表現型可塑性 |
Research Abstract |
エゾサンショウウオ幼生には標準型と両生類幼生の高密度化で誘導される攻撃型、そしてヤゴの存在で誘導される防御型の3つの表現型が存在する。攻撃型は両生類幼生(大型餌種)を食べるのに有利であり、また防御型は捕食者(ヤゴ)からの俊敏な逃避が可能である。このように2つの誘導型は明らかに有利であるにもかかわらず集団で固定されない。本研究では防御型や攻撃型は発現や維持に環境特異的なコストがかかるからこそ必要なときにしか発現しない戦略つまり可塑性が進化すると考え、防御型や攻撃型のベネフィットやコストを様々な環境下で検証した。攻撃型は両生類幼生の高密度環境では生存率が高いが、ヤゴ環境では生存率が低く、逆に防御型はヤゴ環境では生存率が高いが、両生類幼生の高密度環境では生存率が低かった。本研究では防御や攻撃のベネフィットやコストを多様な環境で検証することが防御誘導や攻撃誘導つまりは可塑性の進化の理解に欠かせないことを示した。 両生類幼生においては生物的・非生物的環境要因の変化による幼生期間の表現型可塑性が知られている。面白いことに両生類幼生は、捕食者の存在、餌の種類や量、水位、水温など多様な環境要因に対してよく似た幼生期間の表現型可塑性を示すことがある。例えば餌種の変化や生息池の乾燥化(他に餌量や水温の変化、捕食者の存在)など複数の環境要因の変化に対して幼生期間を短縮(幼生期間の可塑性)し、通常より早く変態し陸に上がる。本課題では、この幼生期間の可塑性はそもそもどの環境要因への適応進化なのか、またなぜ異なる環境要因に対してよく似た可塑性を示すのか、について調べた。幼生期間の可塑性は生息池の乾燥化への適応として始めに進化したこと、そしてその進化で獲得した発生機構が他の複数の環境要因でも利用され、その結果幼生期間が複数の環境要因に対してよく似た表現型可塑性を示すようになったこと明らかにした。
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Research Products
(1 results)