2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23570078
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
竹内 栄 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (20226989)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 性差 / 体色 / 遺伝子 / 発現制御 / 加齢変化 / メラニン産生 / メラノコルチンシステム / 皮膚付属器 |
Research Abstract |
本研究は,ニワトリの雄鞍部に生じる中雛型羽と成鶏雄型羽,卵巣由来の雌性ホルモン(E2)処理することで生じる成鶏雌型羽の詳細な形態的特徴付けを行うとともに,これらの羽形成過程における遺伝子発現の違いを網羅的に解析することで,羽という皮膚付属器の加齢変化と性差を作り出す分子機構を明らかにすることを目的とする。本研究は,ニワトリの鞍部の羽が中雛では雌雄差を示さないが,成長に伴ってデフォルトとして成鶏雄型羽形成に移行すること, E2存在下ではデフォルトの成鶏雄型羽形成が成鶏雌型羽形成に変更されること,を示した申請者らの実験結果に基づいて立案されたものである。初年度である平成23年度は以下を実施した。1.本研究の前提となる従前の実験結果を再確認し,2つの論文にまとめて発表した(Yoshihara et al. 2012; Oribe et al. 2012)。2.鞍部に生じる中雛型羽と成鶏雄型羽,成鶏雌型羽,及びE2処理することで雄に生じる成鶏雌型羽が形成される羽包における遺伝子発現の違いをDNAアレイにより網羅的に解析した。その結果,中雛型羽と成鶏雌型羽の発現パターンは成鶏雄型羽とは異なり,互いに類似していることが判明した。また,羽色遺伝子の発現量が羽色と相関していつことが明らかとなり,このことを論文にまとめて発表した(深尾他,2012)。また,羽の性差形成に関与する可能性のある候補遺伝子を複数同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の実施計画では(1)鞍部に生じる中雛型羽,成鶏雄型羽,成鶏雌型羽,及びE2処理することで雄に生じる成鶏雌型羽を光学顕微鏡レベル,および走査電子顕微鏡レベルで観察し,その違いを明確化する。(2)上述の羽が形成される羽包における遺伝子発現の違いをDNAアレイによる解析によって調べることを挙げている。(1)については,成鶏雄の鞍羽先端部に他の羽と異なり小羽枝を欠くことが明らかとなった。また,(2)については実績に挙げたような結果を得たことから,おおむね順調であると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に得られた結果,即ち,鞍部に生じる中雛型羽と成鶏雄型羽,成鶏雌型羽,及びE2処理することで雄に生じる成鶏雌型羽の明確化された形態的差異(特徴)が,細胞増殖の違いによって生じるものであるのか,アポトーシスの違いによって生じるものであるのかを組織化学的解析によって調べる。また,DNAアレイによる解析で,それぞれの羽形成間で発現量が大きく異なる遺伝子について,リアルタイムPCRによりそれを確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上述の研究計画に従って,試薬・消耗品費を主として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)