2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23570078
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
竹内 栄 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (20226989)
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Keywords | 雌雄差形成 / 羽形成 / ニワトリ / 局所制御因子 / ホルモン制御 / 細胞分化 |
Research Abstract |
最終年度である本年度は,前年度,マイクロアレイ解析で同定し,羽の雌雄差形成に関係すると考えられた2つの新規遺伝子について,その性格付けを行った。 1.小羽枝特異的ケラチン遺伝子の同定 爬虫類や鳥類ではβケラチン遺伝子の遺伝子重複が観察される。この遺伝子重複が,爪やうろこ,羽を生じさせたと考えられている。しかし,各βケラチン遺伝子が皮膚付属器の形成にどのように関わっているのかについては不明であった。本研究では,小羽枝をもたない成鶏雄の羽と小羽枝をもつ成鶏雄の羽のそれぞれに発現する遺伝子を比較することで,小羽枝の形成に特異的に働くβケラチン遺伝子を同定した。この結果は,遺伝子重複によって増加したβケラチン遺伝子が様々な羽形成に関与したとする従来の仮説を支持するものであり,羽の進化を考える上で重要な知見となった。また,本結果は,小羽枝の初めての分化マーカー遺伝子の同定としても価値のあるものであった。本研究成果は科学雑誌「GENE」に報告した(Kowata et al., 2014)。 2.小羽枝形成のステップを制御する局所因子の同定 小羽枝細胞はメラニン色素による着色を受けた後,ケラチンによる角質化が起こり,やがて,細胞が死んで羽構造の一部となる。この過程で,メラニンによる着色からケラチンによる角質化に移行するのを制御すると考えられる新規シグナル分子(PBCF)を同定した。このタンパクに対する抗体を羽形成時に作用させたところ,小羽枝形成に異常を示す羽が生じた。この新規因子の同定は,器官形成のイベントの進行・スイッチングが局所因子により制御されている可能性を示唆するものであり,順序だった器官形成の仕組みを理解する上で,貴重な知見となるものと考えられる。
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Research Products
(6 results)