2012 Fiscal Year Research-status Report
両生類のホメオスタシスに対するグレリンシステムの役割の探求
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23570086
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
海谷 啓之 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (40300975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮里 幹也 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (50291183)
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Keywords | グレリン / 両生類 / グレリン受容体 / セリン / スレオニン / アカハライモリ / ヒキガエル / リガンド選択性 |
Research Abstract |
グレリンは1999年に発見されたペプチドホルモンで、主に胃から分泌され、成長ホルモン(GH)分泌や摂食、エネルギー代謝などを調節する。本研究は、両生類においてグレリン受容体(GHS-R1a)を同定し、グレリンの両生類におけるホメオスタシス維持に対する関与と、受容体との連関を明らかにすることを目的とする。 平成23年度に、無尾両生類のウシガエルおよびアマガエルにおいて、互いに84%の相同性を持つGHS-R1aの同定に成功し、受容体の強制発現細胞系を用いて受容体の特性を調べた。同定した受容体はアマガエルグレリンのセリン(Ser3)とウシガエルグレリンのスレオニン(Thr3)の違いを認識すると予想したが、同程度の親和性を示し、リガンド選択性が認められなかった。 平成24年度は、同定した有尾両生類のアカハライモリのグレリン受容体の特性を調べることを主目的とした。378アミノ酸からなる長鎖、またN末端が6アミノ酸少ない362アミノ酸からなる短鎖受容体があり、長鎖受容体はウシガエル、アマガエル、ヒトの受容体とそれぞれ79%、78%、69%の相同性であった。この2種の受容体の特性を調べた結果、双方とも機能的受容体であったが、短鎖受容体の方がグレリンに対して高親和性で、細胞内Ca2+増加強度が高かった。短鎖受容体は、Ser3を持つイモリグレリン、ラットグレリンに対して同程度の高親和性を示し、Thr3を持つウシガエルグレリンや成長ホルモン放出促進因子(GHS)には3倍程度低親和性であり、リガンド選択性を示した。現在、イモリ以外でもそれを確かめるためにアホロートルの受容体の同定を試みている。 また、無尾両生類のヒキガエルのGHS-R1aの同定に成功し、371アミノ酸から受容体をコードするcDNAを単離した。ウシガエル、アマガエル、ヒトの受容体とそれぞれ86%、91%、68%の相同性であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23、24年度で無尾両生類の二種、ウシガエル、アマガエルのGHS-R1aについてcDNAの同定と生理機能との関連を調べ、論文として報告した。24年度には、無尾両生類のヒキガエル、また有尾両生類のアホロートルについてもGHS-R1aの同定を開始し、ヒキガエルのGHS-R1aについては受容体を同定することができた。しかしながら、受容体をコードする塩基配列を挿入したプラスミドを大腸菌に形質転換すると菌が生育しないというトラブルが発生し、機能評価をするためのプラスミドを獲得するに至っていない。現在、その問題の解決を試みている。また、アホロートルについては、これまでの行っていた方法では受容体遺伝子を増幅できず、塩基配列の相違が考えられ、用いているプライマーデザインを見直す必要がある。 一方、24年度でイモリにおけるグレリンの浸透圧調節、また摂食調節に対する作用を調べる計画であったため、イモリの合成グレリンの発注・作製を行い、イモリの受容体に対する親和性、機能性を確認できたが、生理実験が未だ行えていない。 受容体同定の過程において想定外のトラブルが生じたため、イモリの生理実験も遅れており、早期のトラブルシューティング、また生理実験の加速化が必要な状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は本研究申請の最終年度となる。ヒキガエルのグレリン受容体の同定はできているため、菌の増殖の問題が解決されれば機能評価もできる。アホロートルの受容体同定はプライマーのデザインを見直しているところで、これが想定通り機能すると同定も進むだろう。イモリの生理実験については、連帯研究者と連絡を取りながら、実験の計画・実施を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は計画していた受容体の機能評価、生理実験を行わなかった分、物品費(消耗品)、旅費等が残ることとなった。24、25年度に計画した実験を遂行するため、この研究費はその遂行に充てる。本研究申請の最終年度となる平成25年度は、申請した研究目的を達成するべく、受容体の同定や生理実験を進め、進行の遅れを取り戻さなければならない。そのため、一応、計画通りに研究費を遂行することになるが、当初の年度計画の遅れに伴う皺寄せを予算内に納めるために、生理実験も内容を絞りこんで行う必要が生じるかもしれない。海外学会参加を想定して旅費を多く配分したが、それを物品費(消耗品)に充てることを考える。
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[Journal Article] The fifth neurohypophysial hormone receptor is structurally related to the V2-type receptor but functionally similar to V1-type receptors.2012
Author(s)
Yamaguchi Y, Kaiya H, Konno N, Iwata E, Miyazato M, Uchiyama M, Bell JD, Toop T, Donald JA, Brenner S, Venkatesh B, Hyodo S.
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Journal Title
Gen. Comp. Endocrinol.
Volume: 178
Pages: 519-528
DOI
Peer Reviewed
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