2012 Fiscal Year Research-status Report
花の匂い特性の異なる近縁種間の交雑集団における匂い特性の新規性の解析と種分化
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23570116
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
東 浩司 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (50362439)
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Keywords | 花の匂い / モクレン科 / アケビ属 / GCMS / 雑種 / 交雑 |
Research Abstract |
前年度に引き続きヒメタイサンボクの北方系と南方系の葉緑体ハプロタイプの分布境界および混生集団の探索を行った.これまでの結果、両ハプロタイプの境界がサウスキャロライナ州内に存在することが示唆されたので、サウスキャロライナ州内においてさらなる集団のサンプリングを行い、解析を行った.サウスキャロライナ州および南隣のジョージア州の19集団のハプロタイプを明らかにしたところ、コロンビア市を通り、大西洋に抜けるCongaree川を境に北方系と南方系のハプロタイプがきれいに分かれることが明らかになった.また、コロンビア市の近郊の3集団でのみ、両ハプロタイプの混生が見られ、(葉緑体ハプロタイプで見る限り)両者の混生はあまり進んでいないことが明らかになった.一方で、形態的には枝上の毛の有無またはその程度で北方系と南方系をある程度区別できるのだが、中間的な個体が多く、葉緑体ハプロタイプのようにはっきりとした境界の存在は示唆されなかった.そこで、現在、AFLP解析による核ゲノムの分化がどの程度存在するのかについて解析中である. アケビとミツバアケビおよびその雑種であるゴヨウアケビについてはさらなる個体の花の匂いの解析を行った.ゴヨウアケビは両親の中間的な特徴も示すが、一方で、両親には見られなかった匂い物質を放出していることが明らかになった. また、スイレン科のコオホネの花の匂い特性を明らかにし、種内で大きな変異は見られなかったが、匂い物質としてはまれな直鎖の炭化水素が主成分であることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒメタイサンボクについては予定通りサンプリングを行い、解析を行っている.花の匂いの捕集については、特に南方系の個体は非常に樹高が高くなり、思ったほどサンプリングができなかった.アケビ属については予定通りに解析を行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度なので、成果のとりまとめを視野に研究を進める.ヒメタイサンボクについては現在進めているAFLP解析の結果を踏まえて、北方系と南方系の間に遺伝的分化が生じているのか等について解析を行う.アケビ属についても、雑種であるゴヨウアケビの葉緑体DNAおよび核ITSを解析することで、アケビとミツバアケビのどちらが母親(父親)なのかを明らかし、花の匂い特性と比較する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年度なので、成果の取りまとめを視野に、計画を進める.特にDNA解析および形態形質・化学成分の解析を中心に、データ解析・整理を行う.
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Research Products
(1 results)