2013 Fiscal Year Annual Research Report
双翅類における捕食寄生性の進化とヤドリバエの繁殖戦略の解明
Project/Area Number |
23570119
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
舘 卓司 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 講師 (20420599)
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Keywords | 系統進化 / 双翅目 / 捕食寄生 / 分類学 |
Research Abstract |
双翅類の捕食寄生性の起源を明らかにするために,様々な食性の分類群とその分子データの蓄積をおこない,それらの高次系統を推定した.分類群は,腐肉食性および寄生性のクロバエ科やニクバエ科をはじめ,腐植食性のイエバエ科やハナバエ科,さらに無弁翅類のアシナガヤセバエ科やヒロクチバエ科などを含め,分子データには8遺伝子(18S, 28S, 16S, CO1, Histon 3, tpi,white, wingless遺伝子)を用いた.その結果,寄生性はそれぞれの科内の分類群で生じ,明らかに多起源であることが追認された.寄生性を獲得することで多様化したヤドリバエ科は明らかな単系統群であり,腐肉食性のクロバエから進化したことが示された.ヤドリバエ科の雌の産卵方法の中で,間接寄生タイプの微小卵型への進化経路は,卵生→卵胎生→微小卵型が明らかになり,複数回生じていることが示唆された. 内部寄生者にとって寄主転換には,一齢幼虫の寄主への適応能力を明らかにする必要があり,様々な寄生実験を始める前に寄主および寄生バエ,それぞれの累代飼育をおこなうことを目的とした.当初,寄主や寄生バエの飼育はあまり芳しくなかった.特に寄生のタイミングがそれぞれの種で異なるために,累代飼育の継続が難しかった.その後,そのタイミングをうまく調整することによって,多くの個体を維持・管理できるようになり,今後の幼虫適応に関する実験計画が容易にできる. 双翅類の形態学的研究では,成虫の後胸部形態に着目した.双翅類の後翅は平均棍に変形して,それが関節している後胸部は退縮している.その部分の後方は腹部と関節しており,雌の産卵や交尾行動に関与すると考えられる.そこで,腹部の屈曲という観点から研究を進め,後胸部の側板の相同性を再定義した.また,ヤドリバエ科の種レベルの多様性研究の成果として,分類学的研究もおこなった.
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Research Products
(4 results)