2012 Fiscal Year Research-status Report
PASドメインタンパク質の相互作用多様化機構の解析
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23570194
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
山崎 洋一 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教 (40332770)
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Keywords | 情報伝達 / 光受容 / タンパク質間相互作用 |
Research Abstract |
本研究では、PASドメインタンパク質PYPと相互作用タンパク質の結合部位の解明と、相互作用に必要なタンパク質構造変化を抽出してPASドメイン全般における情報伝達機構の検討を行う。そこで本研究では、①PYP-相互作用蛋白質の結合に関わる直接的なインターフェース部位の抽出と、②相互作用を引き起こすPYPのタンパク質構造変化様式を明らかにする。さらに、③相互作用分子の結合領域の特異性を明らかにする。これらのことから、PASドメインにみられる、多様な性質が共通の構造変化様式の上に階層的に形成されているのか、全く異なる構造変化様式の上に成り立っているのかを明らかにしていく。多様な性質を生む機構が情報伝達過程のどの階層で実現されているかを議論する。 24年度は、前年度に明らかになった光依存的PYP複合体構造の形成要因をPYP分子内の残基レベルで明らかにして、相互作用のON/OFFを決定する構造変化の素過程が議論していく。この目的のため、23年度に続きキメラPYPを用いた、相互作用条件を満たす構造や構造変化様式を相互作用に伴う吸収スペクトル変化や二次構造変化の解析から検討した。さらに、より詳細な議論を進めていくために、部位特異的な変異体解析を行った。また、構造不安定性のため結晶化が困難であったRcPYPの結晶化についても、前年度、決定した晶出条件をさらに検討して、X線構造解析への準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画は、①複合体形成を生む相互作用領域の決定と、残基レベルでの相互作用部位の同定を通じた、相互作用のON/OFFを決定する構造変化の素過程の議論と、②相互作用モデルの分子機構の議論に必須な、RcPYPの結晶構造解析の遂行であった。①の計画については、当初予定していた、キメラPYPを用いた、相互作用領域の探索を行い、その相互作用部位が発色団近傍領域に存在することを見出した。さらに、残基レベルでの変異体解析から、この領域に存在するリシン残基が相互作用の中心的役割を担っていることを明らかにした。そこから、相互作用を駆動する分子間認識に対するモデルを考察した。また、キメラを用いた解析により、相互作用部位の単純な置換は、相互作用能の移植を生まないこと、それらキメラPYPの光反応の二次構造変化の解析から、相互作用の維持に必要な構造の維持が、RcPYPの全配列に依存して存在していること等を明らかにでき、当初計画を十分に達成されていると考えられる。②の結晶構造解析については、得られた結晶のX線損傷が大きく有効な回折結果を得られておらず、系の最適化等も含めて、次年度以降にも解析が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに明らかになった光依存的PYP複合体構造の形成を決定する構造変化の素過程が議論していく。前年度までに明らかにでき相互作用部位は、PASドメイン構造の中において、補欠分子の選択性や、相互作用部位としての報告例もある部位であり、この領域とその構造変化様式が、PASドメインの多様な機能を生む領域であると考えられる。相互作用のON/OFFを誘起する構造変化が、PASドメイン中で共通に駆動するのかを検証する目的ため、引き続きキメラPYPや、部位特異的な変異体を用いて、相互作用条件を満たす構造や構造変化様式を二次構造、溶液構造解析から明らかにしていく。また、相互作用タンパク質についても、相互作用部位の決定を目指した、変異体解析を進めていく。以上の結果の議論には、詳細な立体構造情報が必要になっていくが、前年度に引き続き、晶出条件を最適化していき、X線結晶構造解析へとつなげていく。さらに、相互作用タンパク質についても結晶化条件を探索していく。これらの情報をもとに、すでに多く蓄積されたPYPの構造変化の詳細な知見と、さらに、PASドメイン一般の相互作用様式を検討して、本研究課題の目的であるPASドメインにおける多様性を生むメカニズムを議論する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(4 results)