2011 Fiscal Year Research-status Report
翻訳が滞ったリボソームのtmRNA非依存的な新規レスキュー機構の解析
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23570205
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
行木 信一 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80302959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
姫野 俵太 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (80208785)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 翻訳 / リボソーム / YaeJ |
Research Abstract |
様々な理由によりリボソーム上で翻訳が滞ることがあるが,真正細菌ではこれまでtmRNAによる変則的な翻訳(trans-translation)がこの翻訳停滞を解消(レスキュー)する唯一の方法とされてきた。本研究では,tmRNA以外に翻訳の滞りをレスキューする新規の蛋白質YaeJに関する新規リボソームレスキュー機構の解明を目的としている。本年度では,ますYaeJにおけるリボソームとの機能部位の同定を実施した。YaeJの生物種間での保存性が高くかつ立体構造で表面に露出しているアミノ酸残基を機能部位の候補として選択し,その残基をAlaに置換した変異体のペプチジルtRNA加水分解活性(以下PTH活性)の測定およびリボソーム結合能を検出する実験を行った。その結果,第一に,リボソームとの結合は確認できるがPTH活性が低下する変異体を得ることに成功した。この結果はこの保存されたアミノ酸残基が,YaeJのリボソームのAサイトの活性部位に位置する効率に関係していることを示唆している。第二に,塩基性に富むC末端の非構造領域の保存残基のいずれもが,リボソームの結合に重要であることが示された。さらにその長さを変えた変異体を使った実験から,一定の長さが必要なことが示された。また,分担者の姫野らのdirected hydroxyl radical probing実験から,リボソームの30SサブユニットにあるmRNA tunnelの位置にYaeJのC末端領域が結合している可能性が示唆された。これらの結果から,C末端領域をアンカーとしたリボソーム上でのYaeJの反応メカニズムのモデルが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り「YaeJにおけるリボソームとの機能部位の同定」と「directed hydroxyl radical probingによるリボソームとYaeJの相互作用解析」が実施でき,重要な結果を得られたため,このように判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,「YaeJにおけるリボソームとの機能部位の同定」の実験をさらに進めて,結果をまとめて論文投稿まで行う。同時に「大腸菌無細胞蛋白質合成系を用いたtmRNAとYaeJのリボソームレスキューの競合実験」に着手する。また,予定通り「プロテオーム解析によるYaeJ特異的に発現抑制される遺伝子の探索」を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験で使用する消耗品(DNA合成費,薬品類・酵素・試薬,プラスチック製品など)を中心に使用する。
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