2011 Fiscal Year Research-status Report
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23570221
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
千葉 智樹 筑波大学, 生命環境系, 教授 (00311423)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | タンパク質分解 / プロテアソーム / ユビキチン / 免疫 |
Research Abstract |
ユビキチン・プロテアソームシステムによる選択的なタンパク質分解機構は生物機能の様々な局面で重要な役割を果たしている。そしてユビキチン代謝異常やプロテアソームの機能不全が、様々な免疫疾患、神経変性疾患、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病において報告されている。 プロテアソームには進化的に保存された多数の活性化因子が存在するが、それぞれの生理的役割や機能分担は明らかではない。本研究では、プロテアソームの多彩な機能を担う活性化因子群の遺伝子欠損マウスを作成し、その表現型解析を通じて最終的にプロテアソーム分解経路の機能および機能的連携を明らかにすることを目的としている。 今年度はプロテアソームと相互作用する機能未知因子Ecm29の遺伝子欠損マウスを作成し、その組織学的解析および免疫組織化学的解析を行なった。そしてEcm29欠損肝におけるプロテアソームの生化学的活性を検討した。その結果、他のプロテアソーム活性化因子がプロテアソーム機能を相補している可能性が考えられたため、他のプロテアソーム活性化因子との二重、三重欠損マウスを得るべく各変異マウスとの交配を行なった。プロテアソーム依存性分解はMHCクラスIへ提示される抗原の供給に重要であることが知られている。そこで、MHCクラスIへの抗原提示に異常がないか解析した。解析に必要な数のマウス個体が準備でき次第、結果の再現性を確認する予定である。これらの解析を通じて、進化の過程で保存され、そして多様性を得てきたプロテアソーム活性化因子群の生理的役割を解明することが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロテアソーム欠損マウス由来培養細胞株が停電で失われたため、これらの細胞を再度採取するためにマウスを順次繁殖させる必要が生じ、繁殖のためのマウスの世代交代、スペース確保のために半年程度を要した。しかし、優先順位の高いものから順に細胞を得つつあり、概ね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫の表現型に関してはマウスの遺伝的背景が重要であるため、戻し交雑の完了したマウスが相当数揃った時点で免疫学的表現型を解析する。様々な組み合わせの多重遺伝子欠損マウスが得られつつあり、そのストレス応答能などの予備的な実験を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大部分は多重遺伝子欠損マウスを得るためのマウス飼育費に費やされる。
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