2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23570221
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
千葉 智樹 筑波大学, 生命環境系, 教授 (00311423)
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Keywords | タンパク質分解 / 翻訳後修飾 / ストレス応答 / 遺伝子改変動物 |
Research Abstract |
生体を構成する細胞は、常にタンパク質を合成し、分解する必要がある。このタンパク質の分解は厳密に制御されており、その制御の破綻は様々な疾患(免疫疾患、神経変性疾患、メタボリックシンドロームなど)の原因となる。細胞内のタンパク質を選択的に分解するプロテアソーム複合体は、進化的に保存された多数の活性化因子によって制御されている。しかし、各因子の生理的役割や機能分担は明らかではない。出芽酵母で発見されたEcm29は、その遺伝子欠損株においてプロテアソームが不安定化するため、プロテアソームの分子集合や解離を制御すると報告されている。またストレスによって発現が上昇することから、ストレスによって障害されたタンパク質を分解する機能を有すると考えられている。しかし、ほ乳動物における検証はなされていない。そこで本研究はEcm29の遺伝子欠損マウスを作製し、その表現型解析を行なうことで、Ecm29によるプロテアソーム制御機構を明らかにすることを目的とした。 作製したEcm29欠損マウスの肝臓プロテアソームを解析した結果、Ecm29はプロテアソームの分子集合に必須でないことが判明した。そこで、Ecm29欠損マウス由来の胎児線維芽細胞を単離し、ストレス応答時におけるプロテアソーム活性や分子集合を解析した。またEcm29が他のプロテアソーム活性化因子とも協調して冗長的に機能している可能性が考えられたため、他のプロテアソーム活性化因子を欠損した各マウス系統との交配を行なった。各種組み合せからなる遺伝子欠損マウスの初代培養細胞株も単離し、それぞれについてストレス応答など予備的な実験を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
様々な組み合わせの多重遺伝子欠損マウスおよび胎児性線維芽細胞が得られたため、順次解析することが可能となった。Ecm29単独欠損マウスの表現型解析を投稿準備中であるほか、他プロテアソーム活性化因子との二重欠損マウスの表現型解析を準備している。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子欠損動物の臓器において様々な異常が観察されるため、各臓器における表現型を解析する予定である。また、それらを出発材料として、異常蓄積しているタンパク質などキーとなる分子を同定したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
遺伝子欠損マウスの飼育費の他、マイクロアレイほか新奇分子探索に必要な試薬購入に充てる。
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Research Products
(10 results)