2013 Fiscal Year Annual Research Report
神経冠細胞が関与する、脊髄運動神経細胞体の脱落防止機構の解明
Project/Area Number |
23570245
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
前田 美香 (佐藤 美香) 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究支援者 (40292205)
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Keywords | 神経冠細胞 / グリア細胞 / 運動神経 / TAG-1 |
Research Abstract |
脊髄運動神経の適切な機能発現のためには、その軸索が脊髄を脱して対応する筋節に投射する一方、細胞体は脊髄内に保持される必要がある。この保持機構を解明する目的で、ゼブラフィッシュ胚をモデル系として用い、発生中の脊髄運動神経とmedial経路を移動中の神経冠細胞(およびその由来細胞)の相互作用をin vivoで解析した。特に、神経冠細胞と運動神経の両方で発現が観察される接着分子TAG-1(CNTN2)について、Tag-1欠損胚で運動神経細胞体の脱落が観察される事から、その機能に注目した。 (1)TAG-1欠損胚を用いたキメラ実験を行い、TAG-1発現の有無に依るSchwann細胞前駆体と運動神経の挙動変化を調べた。両細胞種ともにTAG-1(-)である場合、あるいは一方の細胞種だけが発現している場合は、異種細胞間の接着性が弱く軸索周囲へのSchwann細胞前駆体の密接な配列も阻害されていた。 (2) TAG-1モルフォリーノ・アンチセンスオリゴとともにTAG-1のmRNAを胚に注射した結果、これまでTAG-1欠損胚の特徴として観察された表現型(神経冠細胞の配列異常、運動神経軸索周囲のグリア分化異常)が軽減する事を確認した。 (3)高速度カメラにて受精後5日の稚魚の行動解析を行い、TAG-1欠損稚魚に野生型稚魚には見られない特徴的な遊泳異常を見いだした。 平成23、24年度での結果と合わせ、シュワン細胞に分化する神経冠細胞のTAG-1を介した運動神経軸索への接着・伸展の阻害が、神経細胞体の脱落に深く関与し、神経冠細胞の細胞死に起因するグリア分化異常や稚魚の遊泳異常も引き起こす可能性が示された。
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