2013 Fiscal Year Research-status Report
始原的新口動物Hox/ParaHox遺伝子群の包括的研究
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23570266
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
生田 哲朗 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, 技術研究副主任 (80584846)
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Keywords | 国際情報交流:米国、イタリア、台湾 / ゲノム / 新口動物 / 進化 / BAC / 次世代シークエンサー / 遺伝子発現解析 / 発生 |
Research Abstract |
平成25年度は本研究の目的である、始原的歩帯動物におけるHox/ParaHox遺伝子群の発現、構造、機能の包括的理解へ向け、以下の研究を行った。 1. ヒメギボシムシ(Ptychodera flava)ParaHox遺伝子群の発現とクラスター構造の解析: 平成24年度に投稿した、ParaHox遺伝子クラスターのゲノム構造と発現パターンについての論文の非受理をふまえ、データと本文の再整理を行い、台湾、イタリア、日 本、米国の研究グループと共同で再投稿して受理、発表に至った。本種がintactなParaHox遺伝子クラスター構造を持ち、発現パターンにおいても、動物一般で見られるものと共通性があることを報告した。 2. ニッポンウミシダ(Oxycomanthus japonicus)ParaHox遺伝子群の発現とクラスター構造の解析:遺伝子発現の定量的解析のため、各発生段階の胚のサンプリングを行った。クラスター構造解析のためのBACライブラリースクリーニングを行い、ParaHox遺伝子群を含むいくつかのBACクローンの候補が挙がり、現在同定に向け解析を進めている。Whole mount in situ ハイブリダイゼーション(WISH)による発現パターンの解析も開始し、動物一般で見られるパターンとの類似性について、興味深い結果が得られている。ふ化前の胚におけるWISH法の確立へ向け、卵膜除去の方法の検討を行った。結果、効果的に未受精卵の卵膜を除く条件を見つけたが、受精や発生への影響の評価は今後の課題となった。 3. ニッポンウミシダParaHox遺伝子の機能解析へ向け、未受精卵へのマイクロインジェクション法の検討を行い、少なくとも卵内に任意の試薬を導入できることを確認したが、受精や発生への影響の評価は今後の課題となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ニッポンウミシダのBACスクリーニングは、恐らく繰り返し配列が原因で目的シングルクローンの同定には至っていない。Whole mount in situ ハイブリダイゼーション(WISH)では各遺伝子がいつどこで発現するかと共に、発現部位の重複関係を明らかにすることが重要であるが、蛍光染色では自家蛍光が非常に強く、効果的なシグナル検出法の検討が必要となっている。また、ふ化前の胚のWISHでは卵膜の除去が必要であり、その条件検討に時間を費やした。
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Strategy for Future Research Activity |
現在ニッポンウミシダのゲノムプロジェクトが進行中であるため、平成26年度はゲノムプロジェクトチームとの連携を図りながら、引き続きニッポンウミシダのParaHox遺伝子に関する研究を集中的に進めたい。BACクローンの同定が終わり次第、次世代シークエンサーによる全長解読を開始する。また、定量PCRによる発生段階毎の発現量解析と、WISH法による発現局在解析を行う。WISHの蛍光観察においては、自家蛍光の解決のため、様々な透明化の方法などの検討を行う。また、卵膜除去やマイクロインジェクション法の検討を引き続き行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
目的BACクローンの同定に至らなかったため、次世代シークエンサーによる全長解読に必要な試薬の購入を見送った。 目的BACクローンが同定され次第、次世代シークエンサーの試薬を購入し、全長解読を進める。WISH解析とその条件検討に必要な試薬を購入する。
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[Journal Article] Identification of an intact ParaHox cluster with temporal colinearity but altered spatial colinearity in the hemichordate Ptychodera flava2013
Author(s)
Ikuta, T. Chen, Y. C. Annunziata, R. Ting, H. C. Tung, C. H. Koyanagi, R. Tagawa, K. Humphreys, T. Fujiyama, A. Saiga, H. Satoh, N. Yu, J. K. Arnone, M. I. Su, Y. H.
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Journal Title
BMC Evolutionary Biology
Volume: 13
Pages: 129
DOI
Peer Reviewed