2013 Fiscal Year Annual Research Report
耐塩性イネにおけるシアン耐性呼吸の生理学ならびに分子生物学的解析
Project/Area Number |
23580021
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
平井 儀彦 岡山大学, その他の研究科, 准教授 (80263622)
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Keywords | シアン耐性呼吸 / 耐塩性 / イネ / Na排除 |
Research Abstract |
昨年度までの実験から,イネのシアン耐性呼吸が根の細胞pHの制御を通じて,Na吸収抑制に関与することが示された.しかしながら,根プロトプラストにおける細胞質pHの測定値の変動が大きく,さらなる検討が必要であった.また,イネの耐塩性は根のNa排除が重要とされるため,シアン耐性呼吸によるNa排除におよぼす影響の程度を見積もる必要がある.そこで,培養液のpHを変えることで,細胞内外のpH差をつくり,耐塩性の異なる29品種を用いてNa排除におよぼす影響を検討した.その結果,塩処理を行った根のプロトプラストには,死細胞が多く含まれており,このことが細胞質pHの測定値を大きく変動させていた.このため,蛍光pH指示薬に死細胞染色試薬を加えることで,測定精度は大きく改善されたが,根のプロトプラストでは,酸性条件での塩処理では生存率が極めて低く,細胞質pHの校正曲線の作成が困難であった.また,供試した何れの品種でも培養液pHが高いほどNa吸収が高まり,Na吸収は細胞内外のpH差の影響を強く受けることを示された.しかしながら,どのpHでも耐塩性品種は感受性品種よりもNa吸収が低かった.このため,シアン耐性呼吸は,細胞質pHの制御を通じてNa吸収抑制に関与するものの,Na吸収の品種間差には,細胞内外のpH差に依存するNa排出機構以外の要因の影響が大きく,シアン耐性呼吸によるNa吸収抑制効果も比較的小さいと考えられた.
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