2011 Fiscal Year Research-status Report
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23580034
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
塚越 覚 千葉大学, 環境健康フィールド科学センター, 助教 (40270863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池上 文雄 千葉大学, 環境健康フィールド科学センター, 教授 (90159608)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 養液栽培 / 薬用植物 |
Research Abstract |
塩ビ管,ポンプ,タイマー,培養液冷却装置,加温装置などを組み合わせ,養液栽培装置を自作した.2010年4月に播種し,約1ヶ月育苗した苗を同年6月に粒状フェノール樹脂,ロックウール,川砂をつめた装置に定植した.大塚ハウスA処方培養液1/4~1/2単位を異なる灌液頻度(多頻度区:4L・9回~5回/株/日 少頻度区:4L・5回~3回/株/日)で与えて栽培した.7ヶ月後に株を抜き取り,生育,木化程度,地上部および地下部無機成分含有量,サイコサポニンaおよびd含有量などを調査した. 地上部乾物重がは少頻度×ロックウールで最も多く,次いで多頻度×砂,少頻度×砂だった.地下部乾物重は少頻度×砂で,次いで少頻度×ロックウール,多頻度×砂だった.総サポニン含有量に処理による差はなかった.品質の指標とされる木化程度は,砂が最も低かった. 植物体全体の乾物1g中の無機成分含有量を,数種培養液の処方と比較した結果,ミシマサイコの養分吸収には,窒素,カリウムは他の野菜と同程度で,リンの吸収が多く,カルシウム,マグネシウムがやや低いという特性が考えられた.これをもとに培養液を処方すると,アンモニア態窒素やナトリウム塩を使用せざるを得ず,処方についてはさらに検討を要する.しかしながら,広く野菜類に対して用いられている培養液処方よりもリンの濃度を高め,濃度としてはECで0.8~1.2程度で管理することで,ミシマサイコの収量を高められる可能性が示唆された.また,地下部の品質的には,砂培地が適していると考えられるが,入手の容易さや養分管理の容易さなどを考慮すると,ロックウール程度の粒径で,細根が培地に入りにくいものを検討する必要がある. 以上,養液栽培でもミシマサイコの地下部を肥大させ,局方を満たすサポニン濃度の植物を生産できた.今後は,新処方培養液について,その有効性を検討する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
培養液中のイオン濃度測定から,ミシマサイコの養分吸収特性を推定する予定であったが,培養液制御系の設置と調整が栽培と重なってしまったため,植物の含有成分から特性を推定せざるを得なかった.また,種子の発芽率が予想より低く,当初予定していた株数を得られず,様々な試験区を設定するのが困難であった.しかしながら,植物体の含有成分量から養分吸収特性を推定できたので,当初の目的であるミシマサイコ用培養液処方については,ある程度作成できたと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
植物体は順調に生育しているので,新たな培養液処方の有効性を,2年目の株で確認する.また,前年度はデータが得られなかった,培養液分析による養分吸収特性の推定についても,今年度に行う予定である.また,本年も新たに播種を行い,アンモニア態窒素への耐性など,追加の確認実験を行う予定である.さらに,本年度は通常の栽培における収穫年に当たるので,収穫物についての収量や品質評価(サポニン量,木化程度)を行い,一般的な生産物と比較を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた規模の養液栽培装置を,平成23年度中には設置できなかった.これは種苗の確保数が予定よりも少なかったことによるものが大きい.平成24年度は,平成23年度から栽培継続と,新たな種苗の植え付けがあるため,当初予定していた規模の装置が設置される予定であり,そのための資材や関連部材の購入に,平成23年度残額を充てる.また,収穫適期に達した2年生株については,収量調査,品質調査(地下部の木化程度,サイコサポニン分析)などを行う.申請段階でも,2年目の栽培継続と日常的な調査を踏まえて,肥料や実験器具類などの消耗品費を計上した.また,顕微鏡観察に必要な器具類の費用も計上した.これらは申請段階での計画通りに行われる予定である.平成24年度分研究費は,上記のように当初の計画を遂行するために使用する.
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Research Products
(1 results)