2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23580035
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 和弘 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (60242161)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 緑道 / 鳥類 / 植生構造 / 移動 / 連結性 / ランドスケープマトリクス / 大規模緑地 |
Research Abstract |
東京および近郊にある緑道から、調査に適したものとして、見沼緑道、秋ヶ瀬緑道、白幡緑道、笹目川、大宮氷川神社参道(以上、さいたま市)、見沼代親水公園、舎人緑道、江北北部緑道公園(以上、足立区)、北沢川緑道、烏山川緑道(以上、世田谷区)、矢端川緑道(豊島区・北区)、大横川親水公園、横十間川親水公園(以上、墨田区)、一之江境川親水緑道、小松川境川親水緑道(以上、江戸川区)、多摩湖自転車道(小金井市、小平市、東村山市、東大和市)、港北ニュータウン内緑道(横浜市)を選定した。 2012年2月に、各緑道およびそれぞれに隣接する市街地等において、ロードサイドセンサスよる鳥類調査を実施した。通常の方法により、出現した鳥類の種名と個体数を記録したほか、個々の個体が利用していた植生または構造物の種類と部位を記録し、緑道やその周辺の空間のどのような要素が鳥類にとって好ましいものであるかを判断するためのデータとした。加えて、観察中に移動した個体については、その移動の内容について、「観察範囲内・同一景観構成要素内での移動」「観察範囲外・同一景観構成要素内での移動」「観察範囲内外を問わず、異種の景観構成要素への移動」に分けて記録した。このデータから、個体の移動が緑道の内外でどのように異なるか、緑道が鳥類にとって好ましい移動経路になっているかどうかを今後分析する。 調査は、降水・降雪がある日、強風の日を避け、午前8時から午後2時までの間に行った。時間帯の違いによる出現状況や空間利用状況の変化は、ここまでの予備解析では認められなかった。 結果は現在解析中であるが、緑道の植生構造や隣接する空間の様相によって緑道内の鳥類種組成が大きく異なること、緑道内では緑道に沿った鳥類の移動が多いのに対し、市街地では飛び去る方好に特定の傾向が見られないこと、などを示唆するデータが得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査を行うことができた緑道の数は、当初計画を大きく上回った。これにより、都心に近い高密度の市街地中の緑道から、郊外の農地に囲まれた緑道、両者の中間的な様相の緑道まで、周囲の環境が多様な緑道を調査することができた。また、緑道内の植生構造についても、落葉樹高木が連続するもの、落葉樹と常緑樹の高木・亜高木が混在するもの、低木が主体であるもの、など、多様なものを対象とすることができた。この点で、当初の予定以上に説明力の高い結果を得ることができそうである。 一方で、予算全額が利用できることが確定した時期が遅かったため、プラントキャノピーイメージャの購入が遅れ、その操作の習熟に時間を要したため、植生構造の定量的な調査が次年度に持ち越された。 以上のように、プラスとマイナスどちらの面もあるが、マイナス面についても次年度に挽回可能であることから、上の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り、2月に調査を行った緑道について、5~7月にもう一度鳥類の調査を行う。加えて、プラントキャノピーイメージャなどを用いた植生構造調査を実施する。 その後、これも当初計画に従い、玉川上水の植生構造調査、鳥類調査を実施する。また、前年度対象地と今年度対象地について衛星画像を入手し、対象地周辺の植被の状況を植生指数などにより定量的に把握する。昆虫調査についても、逐次実施していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
衛星画像を処理するための人件費、調査補助の謝金、調査の際の交通費、調査の際の消耗品の購入費に充てさせていただく予定である。人件費と謝金で大半を使用し、交通費が1割弱、消耗品は若干ですむものと考えている。
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