2012 Fiscal Year Research-status Report
サクラの園芸品種の形態による分類の再検討と品種原木の保全―菊咲き性を中心として
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23580058
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Research Institution | Flower & Green Bank |
Principal Investigator |
大原 隆明 公益財団法人花と緑の銀行, その他部局等, 研究員 (40393110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神戸 敏成 公益財団法人花と緑の銀行, その他部局等, 研究員 (00393108)
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Keywords | サクラ / 分類学 / 組織培養 / 園芸利用 |
Research Abstract |
1.菊咲き性サクラ品種の分類学的調査:富山県および石川県には樹齢40年以上の菊咲き性のサクラ個体は、昨年度までの現地調査および文献調査により41箇所に存在することが確認されていたが、24年度の調査で新たに2か所での生育を確認できたため、計43箇所に存在することが判明した。このうちの高岡市二上山で見出された1個体は、ヤマザクラとカスミザクラの交雑に起源する菊咲き性個体であり、花柄が非常に長いなどの特徴がある過去に記載のない新品種であることが判明し、学会発表を行った。 2.その他のサクラ品種の分類学的調査 菊咲き性品種以外に下記の2品種について分類学的調査を行い、それぞれ論文発表および学会発表を行った。(1)コシノフユザクラ:富山県東部で栽培される二季咲き性品種であり「コシノフユザクラ」と仮称していた既に学会発表済みのサクラについて再調査を行い、新品種としての記載を含む論文を発表した。(2)‘タカサゴ’類似新品種:富山県上市町および立山町で栽培されている‘タカサゴ’に類似したサクラ個体について形態調査を行った結果、‘タカサゴ’とは明瞭な差異がある園芸的価値の高いものであることが判明したため、新栽培品種として学会発表を行った。 3.菊咲き性サクラ品種の増殖研究 富山県と東部で発見されたニュウゼンオトメキクザクラを含む菊咲き性サクラ7品種の成長点培養による増殖に成功し、園芸学会および富山県中央植物園研究報告において発表を行った。また、富山県で発見された5品種を含む10品種の菊咲き性サクラ品種の芽接ぎ法による増殖を試み、経過観察を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
分類学的調査:富山・石川両県に存在する調査対象木の概要は把握でき、調査も進んでいる。また、新品種に関する学会発表も新たに2件、論文執筆も1件行っており、順調に研究が進行していると考えている。 増殖に関する研究:多くの菊咲き性サクラ品種の組織培養での増殖方法が確立できつつあり、おおむね順調に進展していると考えている。特に、原木が一本のみ現存していたジョウキョウジテマリザクラでは組織培養で増殖した苗を原木を所有する寺院の境内に定植することができ、この点では当初の計画以上に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
分類学的調査:調査対象木のうち、特に富山県産の新栽培品種である可能性が高いものについて重点的に調査を行い、学会発表ならびに論文執筆を行う予定である。 増殖に関する研究:効率が良い組織培養による増殖方法の確立を目指すとともに、芽接ぎ方法による安定した増殖方法の確立を目指し、学会発表ならびに論文執筆を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
分類学的調査:比較材料収集および学会発表のための旅費や、サンプリングおよび標本作成に使用する消耗品費、論文投稿費、研究補助のための人件費として使用する予定である。 増殖に関する研究:学会発表のための旅費、実験補助のための人件費、薬品などを購入する消耗品費として使用する予定である。
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Research Products
(6 results)