2013 Fiscal Year Annual Research Report
植物の分泌物質がヒメハナカメムシ類の繁殖や生存に及ぼす効果
Project/Area Number |
23580078
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
大野 和朗 宮崎大学, 農学部, 准教授 (10203879)
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Keywords | ヒメハナカメムシ類 / 広食性捕食者 / 保全的生物的防除 / IPM / オクラ / 真珠体 / インセクタリープランツ |
Research Abstract |
広食性捕食者のヒメハナカメムシ類の天敵としての持続性を高めるため、オクラで分泌される真珠体に注目し、ヒメハナカメムシ類の繁殖および生存に及ぼす効果を検討してきた。実験室内では、オクラの分泌物多糖類を摂食することで、タイリクヒメハナカメムシの生存が高くなることを明らかにしてきたが、野外で捕食性個体群の持続性を高めるためには、繁殖などに高い効果を示す植物資源(インセクタリープランツ)が必要と考えられた。そこで、2013年は前年度のホーリーバジルに加え、スィートバジルの花粉や花蜜が産卵数や生存率に及ぼす効果を明らかにするため、ソバやスジコナマダラメイガ冷凍卵と比較した。その結果、ホーリーバジルに比べ、スィートバジルでは高い産卵効果が認められ、天敵個体群の持続、繁殖能力の強化に有用と考えられた。 野外でのヒメハナカメムシ類に対するオクラの効果を実証するため、宮崎県内露地ナス農家にオクラをインセクタリープランツとして植栽した植生管理IP圃場、天敵に影響の少ない選択的農薬を使用した天敵保護IPM圃場、非選択的農薬中心の慣行防除圃場を設け、各種害虫および天敵類の発生を2週間間隔で調査した。その結果、ヒメハナカメムシ類の持続性が高いことがあきらかとなった。特に、餌となるアザミウマ類の発生が少なくなった9月以降も植栽管理IPM圃場ではヒメハナカメムシ類がオクラで観察され、ナス株上でも発生は持続した。 オクラの真珠体に注目した3年間の室内実験、網室実験、農家圃場での実証試験を通して、オクラはヒメハナカメムシ類の安定的かつ持続的発生を可能にするインセクタリープランツとして有効であること、農家圃場での大幅な減農薬栽培が可能になることを明らかにした。
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Research Products
(8 results)