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2012 Fiscal Year Research-status Report

連鎖球菌における宿主細胞外マトリックス(グリコサミノグリカン)の代謝機構

Research Project

Project/Area Number 23580112
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

橋本 渉  京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (30273519)

Keywords連鎖球菌 / グリコサミノグリカン / 異性化酵素 / 還元酵素 / 不飽和グルクロニルヒドロラーゼ / 細胞外マトリックス / 感染症 / X線結晶構造解析
Research Abstract

グリコサミノグリカンの分解に関わる不飽和グルクロニルヒドロラーゼ(UGL)遺伝子クラスターにコードされている連鎖球菌Streptococcus agalactiae由来タンパク質Gbs1892とGbs1891が、不飽和グルクロン酸の代謝に関わる異性化酵素と還元酵素として各々逐次反応を触媒することを明らかにしている。本年度は、両酵素の分子多様性と立体構造を解析した。
他の連鎖球菌S. pneumoniae(Spn)とS. pyogenes(Spy)のゲノムにもUGL遺伝子クラスターが存在する。遺伝子組換え酵素の特性解析により、Gbs1892と相同性を示すSpn0289とSpy0637が異性化酵素活性を、Gbs1891と相同性を示すSpn0290とSpy0636が還元酵素活性を示すことを明らかにした。X線結晶構造解析により、Gbs1892はα/β-構造のサブユニットをもつホモ4量体酵素であり、Spy0636はα/β/αの3層からなるサブユニットをもつホモ4量体酵素であることが分かった。Gbs1892は、同一の活性を示す大腸菌由来KduIと構造類似性を示さなかった。Spy0636は典型的なshort-chain dehydrogenase/reductaseファミリーと同様の構造特性を示す。つまり、Spy0636の分子中央に1枚のβ-シートが存在し、その周りをα-ヘリックスが取り囲む構造をとる。外周のα-ヘリックスの中央には、大きなクレフト(Rossmannフォールド)が存在し、ここで還元反応が行われると示唆される。
Gbs1892と基質との複合体の構造解析に着手した結果、結晶溶液に高濃度で含まれる基質アナログ(酒石酸カリウムナトリウム)がGbs1892と結合していた。酒石酸ナトリウムカリウムは本酵素反応を阻害することから、この部位が基質との結合に重要であることが示された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

グリコサミノグリカンの代謝に関わる連鎖球菌由来異性化酵素と還元酵素の立体構造を高分解能で決定した。異性化酵素について、連鎖球菌Gbs1892と大腸菌KduIは同一の反応を触媒する酵素であるが、その一次構造も立体構造も全く似ていないことが明らかになった。これは、両酵素が異なる起源から分子進化してきた可能性を示すものであり、タンパク質の構造と機能の分子進化を考える上でとても重要である。基質アナログとの複合体の構造解析から、Gbs1892における基質結合部位を同定することができた。
還元酵素について、連鎖球菌Spy0636は補酵素NADH依存的に還元活性を示す。その一次並びに立体構造解析から、本酵素がSDRファミリーに分類されることが分かった。ファミリー酵素との比較構造解析より、Spy0636の触媒反応に関わるアミノ酸残基を推定することができた。

Strategy for Future Research Activity

立体構造を決定したグリコサミノグリカン代謝系酵素(異性化酵素と還元酵素)について、両酵素の生理機能を解析する。また、各種リガンドとの複合体の立体構造に基づいて、両酵素の活性部位におけるアミノ酸残基の役割を明らかにする。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

グリコサミノグリカン代謝系酵素(異性化酵素と還元酵素)の生理機能を解析するため、各種の基質アナログや補酵素を一般化学試薬として購入する。両酵素の変異体作製のため遺伝子工学とタンパク質工学試薬を、変異体の精製のためゲル担体を、構造解析のため結晶化試薬を、各々消耗品として購入する。X線回折データの取得と学会での成果発表のため、出張旅費を計上する。結晶化では多検体スクリーニングを行う必要があるため、非常勤職員を雇用し謝金を支払う。

  • Research Products

    (4 results)

All 2012 Other

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Induced-fit motion of a lid loop involved in catalysis in alginate lyase A1-III.2012

    • Author(s)
      Bunzo Mikami
    • Journal Title

      Acta Crystallographica Section D Biological Crystallopgraphy

      Volume: 68 Pages: 1207-1216

    • DOI

      10.1107/S090744491202495X

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Recognition of heteropolysaccharide alginate by periplasmic solute-binding proteins of a bacterial ABC transporter.2012

    • Author(s)
      Yu Nishitani
    • Journal Title

      Biochemistry

      Volume: 51 Pages: 3622-3633

    • DOI

      10.1021/bi300194f

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 酸性多糖の分解に関わる細菌由来不飽和グルクロニルヒドロラーゼのクラスター分析

    • Author(s)
      中道優介
    • Organizer
      日本生化学会2012年度大会
    • Place of Presentation
      福岡国際会議場(福岡県)
  • [Presentation] ヘパリン分解細菌由来ヘパラン硫酸リアーゼHepCの結晶構造と活性部位

    • Author(s)
      橋本 渉
    • Organizer
      日本農芸化学会2013年度大会
    • Place of Presentation
      東北大学(宮城県)

URL: 

Published: 2014-07-24  

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