2013 Fiscal Year Annual Research Report
サイクリンAーCDK活性の亢進による染色体恒常性破綻の分子機構
Project/Area Number |
23580140
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
千葉櫻 拓 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (30227334)
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Keywords | サイクリンA / サイクリン依存性キナーゼ / Mcm7 / S期移行 / 中心体複製 / 染色体倍数化 |
Research Abstract |
哺乳動物細胞におけるサイクリンA(CycA)-CDK複合体の活性亢進が、S期移行促進・中心体過剰複製・染色体倍数化を介して、染色体恒常性を破綻させる分子機構の解明を目的として、以下の解析を行った。 (1)CycA-Mcm7相互作用がS期移行を促進させる分子機構の解析 CycAが複製開始因子Mcm7との結合を介してS期移行を促進することは既に報告しているが、両者が染色体上の複製開始領域において相互作用しているかどうかを検証するため、ゲノムワイドなChIP-Seq解析を行った。その結果、CycA、Mcm7、複製開始領域結合因子Orc2が共通に結合しているヒト染色体領域が複数同定され、それらが既報のヒト染色体複製開始領域と重複していたことから、CycAとMcm7が実際に複製開始領域において相互作用することが初めて示された。 (2)CycA-CDKの活性亢進による中心体過剰複製・染色体倍数化の分子機構の解析 中心体複製制御因子Mps1の阻害剤がCycA-CDKの活性亢進に依存せずに染色体倍数化を誘導したことから、Mps1による中心体過剰複製・染色体倍数化の抑制が示唆されたが、Mps1の過剰発現によってもCycA-CDKの活性亢進による染色体倍数化が抑圧されなかったことから、CycA-CDKの活性亢進はMps1とは別経路で中心体過剰複製・染色体倍数化を誘導することが示唆された。また、染色体倍数化を誘導できない変異型CycAを分離したところ、CDK活性化能を失っており、染色体倍数化はCDK活性に依存することが改めて示された。さらに、CycAのS期促進機能が染色体倍数化へ関与するかどうかを検証するため、野生型およびMcm7結合能欠損変異型CycAを用いてCycA-CDKの活性を亢進させた結果、どちらの場合も染色体倍数化を誘導したことから、CycAのS期促進機能は倍数化に関与しないことが示された。
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