2012 Fiscal Year Research-status Report
フルクトース過剰摂取に起因した脂肪性肝炎と機能性食品成分によるその発症予防
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23580181
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
乾 博 大阪府立大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20193568)
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Keywords | スクロース / フルクトース / 腸管吸収 / 肥満 / 脂肪性肝炎 / 腸内細菌叢 / 食品機能性 |
Research Abstract |
ユーカリ葉抽出物中に含まれる腸管フルクトース吸収阻害物質について、23年度の研究でtellimagrandin Iを見いだした。tellimagrandin Iはユーカリ葉中に含まれる主要な加水分解性タンニン(エラジタンニン)であるので、他の加水分解性タンニンについても精製し他の加水分解性タンニンについても阻害活性を調べた。その結果、pedunculaginやtellimagrandin IIなどのエラジタンニンだけでなくガロタンニンであるpenta-O-galloyl-beta-glucoseにも阻害活性が見られた。したがって、ユーカリ葉抽出物に含まれる様々な加水分解性タンニン(エラジタンニン、ガロタンニン)がフルクトース吸収阻害に活性成分であり、スクロース・フルクトース過剰摂取に起因した肥満・脂肪性肝炎の予防に寄与しているものと考えられる。 次に、スクロースを多量摂取に起因した脂肪性肝炎の発症に腸内細菌叢の変化が関係しているかについて検討した。具体的には、スターチ食(標準食)、高脂肪食、スクロース食、高脂肪スクロース食の4群に分けKK-Ayマウスを8週間飼育し、脂肪肝、肝臓障害、盲腸内細菌叢について調べた。その結果、スクロース食は高脂肪食と同様に脂肪肝が引き起こされており、さらに高脂肪スクロース食では脂肪蓄積量が増加していた。また、肝臓障害については血清ALT活性を指標として調べたところ、スクロース食、高脂肪スクロース食で有意なALT活性の上昇が観察された。さらに、盲腸内細菌叢の変動を明らかにする目的で盲腸内容物の短鎖有機酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)について検討したところ、スクロース食では高脂肪食同様にプロピオン酸、酪酸の減少が見られた。このことからスクロース食でも高脂肪食と同様に腸内細菌叢が悪化し、脂肪性肝炎の原因になっている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、スクロースやフルクトース過剰摂取による脂肪肝・脂肪性肝炎(NASH)発症のメカニズムの解明を行うとともに、食品成分の機能性を応用した予防法の確立を目的として行うものである。研究代表者はすでにユーカリ葉抽出物に腸管フルクトース吸収阻害作用があり、スクロースやフルクトース過剰摂取に起因した脂肪肝を抑制することを報告している。23年度の研究で主要なフルクトース吸収阻害物質として加水分解性タンニンの1種であるtellimagrandin Iを見いだした。さらに、24年度にはpedunculaginなど他の加水分解性タンニンにもフルクトース吸収阻害活性が存在することを明らかにした。また、ユーカリ葉抽出物以外にもフルクトース吸収阻害作用を有する機能性食品素材を見いだしており(23年度)、フルクトース吸収阻害による脂肪肝・脂肪性肝炎予防機能を有する食品機能性に関する研究はほぼ完了した。一方、スクロース過剰摂取によぶ脂肪性肝炎発症のメカニズムの解明については、24年度の研究で、高脂肪食摂取時と同様にスクロース食摂取で腸内細菌叢が変化していることが示された。とりわけ、酪酸の生成量の減少が観察されたが、酪酸は大腸のエネルギー源であり腸管タイトジャンクションの維持に重要であると言われており、高脂肪食摂取の場合と同様に腸管からのエンドトキシン(リポ多糖)の流入が脂肪性肝炎発症に重要であることを示すことができた。今後、さらなる省内なメカニズムの解明が必要であるが、一応24年度までの予定はほぼ完了しているものと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度の研究でスクロース食摂取により高脂肪食の場合と同様に腸内細菌叢が変化し、脂肪性肝炎発症に重要であることを示唆した。25年度は、Real-time PCR法による腸内細菌叢の詳細な検討、炎症性サイトカインレベルの変化など詳細はメカニズムの解明を進める。腸内細菌叢が変化すると腸管タイトジャンクションが緩みエンドトキシン(リポ多糖)が流入する。このリポ多糖が炎症性サイトカインの生成を引き起こし、脂肪性肝炎の原因の1つとなると言われている。そこで、リポ多糖の作用をターゲットとした脂肪性肝炎予防機能を有する食品成分の探索を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度の研究費は、23、24年度同様に、動物実験に用いる動物、飼料、分析試薬など消耗品に全て充当する。
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