2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23580183
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
五十嵐 庸 順天堂大学, 医学部, 助教 (00277815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長岡 功 順天堂大学, 医学部, 教授 (60164399)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | グルコサミン / 骨芽細胞 / 骨代謝 / 軟骨代謝 / グリコサミノグリカン |
Research Abstract |
アミノ糖であるグルコサミン(GlcN)は,グリコサミノグリカンの構成成分として,生体内での軟骨グリコサミノグリカン合成に使われている.そのためGlcNは,加齢とともに関節の変形や運動障害を伴う変形性関節症(OA)に対する予防・治療に使用されている.このような背景から,軟骨代謝に及ぼすGlcNの作用がいままでは研究されてきた.一方,OAの発症・進行には軟骨下骨など骨代謝が関与し、進行期のOAでは骨吸収マーカーの上昇が見られるなど、骨代謝と軟骨代謝は密接に関連するが、骨代謝に対するGlcNの効果はほとんど研究されていない.そこで本研究では,グルコサミンが骨代謝に対してどのような効果をもたらすのかを,骨芽細胞培養細胞株を用いて検討した. マウス骨芽細胞様培養細胞株(MC3T3-E1)に対し,デキサメサゾン,-グリセロリン酸,アスコルビン酸を含む培地で培養し,骨芽細胞への分化誘導を行った.また,同時にGlcNを添加した.培養後,alizarin red-S(AR-S)染色を行い石灰化能を, RT-PCR法にて骨芽細胞分化マーカーの発現量を評価した. まず,AR-S染色により分化後期に見られる石灰化を検討したところ,GlcNにより石灰化が亢進した.また,初期分化マーカーであるtype I collagenとalkaline phosphataseの発現はGlcNによりほとんど変化がなかったものの、中期~後期の分化マーカーであるosteopontin とosteocalcinの発現が亢進した。以上より,GlcNは,骨芽細胞の中期以降の分化を亢進することで,石灰化を亢進するものと考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、骨芽細胞を用いた培養細胞系での研究を主に行い、グルコサミンの骨芽細胞分化に対する新たな効果を見いだすことができ、その一部は学会発表や査読付き論文としてまとめることができた。また、研究分担者とも密に協議を行い、研究を遂行することができた。これは、当初の研究目的の達成度照らし合わせて、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、培養細胞を用いた検討を進めつつ、マウスを用いた実験に着手する。変形性関節症自然発症モデルマウスを用い、グルコサミン投与によるマウス硬組織に与える影響を、膝関節を中心に検討する。また、単にグルコサミン投与群と非投与群との比較のみならず、野生型マウスを用いた系との比較を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、変形性関節症自然発症モデルマウスおよび野生型マウスの購入および飼育維持に研究費の一部を使用する。また、それらの解析費用や血清サンプルの解析(ELISAなどのKit、試薬の購入)やそれらのための消耗品に使用する。また、学会の参加費用にも充てる。これらは、次年度に使用する予定の研究費を加えることにより、可能だと考える。
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Research Products
(3 results)