2011 Fiscal Year Research-status Report
耕畜連携における地域連携型複合生産システムの形成に関する実証的研究
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23580290
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
秋山 満 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (10202558)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 戸別所得補償制度 / 耕畜連携 / 大規模水田経営 |
Research Abstract |
本研究は、戸別所得補償制度を契機とした耕畜連携の動向を、実態調査を中心に進める予定であったが、今年度は、震災の影響があり東日本を中心に実態調査があまり進められなかった。また、農業センサスの公表・発行を待って水田農業構造変動の統計分析を行う予定であったが、統計資料の公表・発行が遅れているため、全国的な構造変動分析が遅れている。 しかし、戸別所得補償関連の文献や業務統計が公表され、文献や資料の収集が進むとともに、既存の水田農業関連統計や業務統計の分析は予想以上に進展した。また、水田農業における集落営農実態調査や経営動向調査等の関連統計の分析を進め、大規模層における戸別所得補償への対応動向や生産調整への参加動向、稲発酵粗飼料、飼料用米、米粉用米などの「米による転作」の取り組み動向を業務統計も含めて検討することができた。 こうした成果は、梶井功・谷口信和編『日本農業年報57 民主党農政1年の総合的検証』農林統計協会、2011年の第II部第2章に「東日本における米戸別所得補償モデル対策取り組みの現状と課題」(90-111p)と題して執筆公表するとともに、日本農業経営学会シンポジウムの第1報告として「水田作における規模問題」として報告、『農業経営研究』第49巻第4号(2012年)に同名論文として掲載・公表してきた。本研究との関連では前提となる基礎的研究であるが、研究発表の機会に恵まれたこともあり、計画時より予想以上の達成となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、戸別所得補償制度を契機とした耕畜連携の動向を実体的に検討することを目的としているが、震災の影響もあり、東日本を中心とする実態調査の側面ではやや遅れている。また、統計分析として2010年農業センサス分析を行う予定であったが、同統計の公表・発行が遅れ、水田農業の構造的統計分析の面でやや遅れている。 しかし、水田農業に関する既存の統計・業務統計等の資料収集、及び、戸別所得補償や耕畜連携に関わる文献・資料の収集が予想以上に進とともに、研究動向のサーベイや水田農業・戸別所得補償・耕畜連携に関わる統計分析は、計画より順調に進展した。 こうした研究成果は、発表の機会に恵まれたこともあり、共著の発行や学会シンポジウムでの報告、学会誌への掲載を行うことができ、予想以上の成果を上げてきている。 震災からの復興が進む中で、実態調査の受け入れ可能のアクセスもとれつつあり、全体としてみれば、おおむね順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画としては、震災により初年度に実施できなかった実態調査を中心に研究を計画している。実態調査の実施地域としては、相対的に震災被害の影響の少なかった関東、近畿・中国、九州地域を中心に実態調査を行う予定であり、現地と現在調整中である。 また、2010年農業センサスが公表・発行されるので、これまでの他の統計分析の知見も含めながら、水田農業と耕畜連携、戸別所得補償の対応動向を構造的に統計分析する予定である。 さらに、戸別所得補償関連や耕畜連携関連、水田農業構造問題に関連する文献等を今後とも収集し、こうした研究動向のサーベイや検討を引き続き行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、科研の中間年に当たるので、初年度に実施が難しかった実態調査を中心に研究を行う予定であり、そのための旅費と調査補助員の謝金が必要である。また、水田農業関連、耕畜連携関連、戸別所得補償関連の文献・資料収集のために物品費が必要である。 初年度の繰り越し金については、初年度が震災の影響で実態調査が難しく、旅費・謝金を中心に繰り越したものであり、繰越額のほとんどは今年度の旅費及び調査補助員に関わる謝金に支出する予定である。
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