2013 Fiscal Year Annual Research Report
耕畜連携における地域連携型複合生産システムの形成に関する実証的研究
Project/Area Number |
23580290
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
秋山 満 宇都宮大学, 農学部, 教授 (10202558)
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Keywords | 米生産調整 / 直接所得支払 / 担い手育成 / 新規需要米 / 耕畜連携 / 集落営農 |
Research Abstract |
本研究では、日本版直接所得支払制度の具体化である戸別所得補償政策、及び経営所得安定対策を対象に、新規需要米を中心とする「米による転作」(米のエサ利用、米粉利用の拡大)と耕畜連携や農商工連携のあり方も含めて水田フル活用の実態を検討した。 生産現場においては、集落営農の法人化を契機に、規模拡大加算と集積協力金獲得を目指した集落営農への農地集積が見られると共に、担い手確保の一環として新規就農者の確保として農外からUターンした新規参入者を農の雇用事業も活用して確保した事例などを検討した。しかし、こうした経営においても、主食用米と新規需要米の米単作構造では、周年労働確保が容易でないとともに、カントリー等の共乾施設の稼働率においても問題を抱えるため、本来の転作作物であった麦作、及び、周年労働確保のための野菜作などの導入による経営複合化が課題となっていた。 また、新規需要米の販売に関しては、飼料用米、米粉用米は輸入飼料・小麦との競合局面にあるため、JAによる共同集荷・販売を利用しても実需者への流通経費で販売価格はほぼ吹き飛んでしまう採算水準であり、奨励金水準に依存し自立した生産体系とは言いがたい政策依存型作付体系となっている。また、WCS(発酵型稲粗飼料)は、大家畜畜産農家との結びつきが必要であり、酪農・肉牛生産地域周辺では展開するが、畜産未展開地域においては輸送費の問題もあり、その普及は難しい状況にある。 こうした新規需要米の定着確保のためには、米の主食用・新規需要用の団地的土地利用と共に、麦作に代表される土地利用型畑作物の導入、及び労働需要力の高い集約型作物を組み合わせた集団的複合型土地利用の確立が必要であるとともに、乾燥・調整過程、流通体制の地域間・実需者間の連携システムの確立が求められると共に、新規需要米を利用する畜産物・米粉加工品の付加価値型販売戦略の共有化が求められている。
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