2011 Fiscal Year Research-status Report
産業観光における果樹産地の地域振興と都市市場開拓に関する実証的分析
Project/Area Number |
23580312
|
Research Institution | Kyoei University |
Principal Investigator |
中村 哲也 共栄大学, 国際経営学部, 准教授 (80364876)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 敦史 千葉大学, 園芸学研究科, 准教授 (90292672)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 沖縄県名護市 / 石川県河北郡津幡町 / フルーツパーク / 農家レストラン / 直売所 / 農村ツーリズム / 産業観光 |
Research Abstract |
平成23年度は、フルーツパークの都市農村交流に関する消費者評価を実施した。研究対象としたフルーツパークは、ナゴパイナップルパーク(沖縄県名護市)、弘前りんご公園(青森県弘前市)であった。これらのフルーツパークでは、常設・企画展示コーナーが設けられ、都市住民と農村・産地とを結ぶ懸け橋となっていた。これらのフルーツパークでは、食を体験するだけでなく、収穫も体験できる、『食育』ならぬ『食農』も体験できる人気施設として、都市住民だけでなく、地域住民の『地産地消』にも一役買っていた。本研究では、これらの2つのフルーツパークの来客にアンケート調査を実施し、都市住民と地域住民の来訪目的や、食農体験を経た消費者意識がどのように変化したのか検討し、考察した。 また、郷土・地場料理体験型施設である農家レストランや即売所の経営活動を評価した。農家レストランは、地域食材を活かした料理を楽しめる農山漁村の直食施設として人気が高まっている。都市生活者には、緑ゆたかな田舎で新鮮な地元の味を楽しめる御食事処として利用されている。近年、農家レストランは都市農村交流の場として、中山間地域のまちづくりの中核として期待されている。また、即売所は地元の食材を集め、都市住民へ食材を提供するだけでなく、地域の食文化を提供し、かつ地元民との交流の場としても活用されている。研究対象としたのは、石川県河北郡津幡町の河合谷大滝と河合谷郷の即売所である。河合谷大滝では流しそうめん等の農家レストランの施設が併設され、河合谷郷の即売所では直売所に郷土・地場料理が提供されていた。本研究でも、これらの農家レストラン、直売所の来客にアンケート調査を実施し、都市住民と地域住民の来訪目的や、食農体験を経た消費者意識がどのように変化したのか検討し、考察した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成23年度はフルーツパークの都市農村交流に関する消費者評価を実施し、平成24年度は農家レストランの都市農村交流の実態と農家の多面的な活動を考察する予定であった。しかし、研究が計画より順調に進んだため、農村レストランに関する調査も平成23年度中に実施した。フルーツパークに関しては、2012年5月19日に実施された日本国際地域開発学会春季大会にて『沖縄北部地域の農村ツーリズムとその顧客特性-ナゴパイナップルパーク,サンライズひがしを事例として-』というタイトルで学会報告している。また、農家レストランや即売所の経営活動に関しても、2011年11月26日に実施された日本農村生活学会にて『農村ツーリズムによる中山間地域活性化の方向性-石川県河北郡津幡町河合谷地区を事例として-』というタイトルで学会報告している。 現在、学会で報告した要旨をもとに、研究成果をまとめており、平成24年度中に研究成果を論文として報告する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、今年度も引き続き弘前市のりんご公園の『食農・食育活動』をテーマとした研究を推進したい。前年度(平成23年度)、すでに弘前市りんご公園の来訪客に対して、アンケート調査を実施した。前年度はりんご公園の来訪客の顧客満足度や顧客特性を調査したものであったが、今年度はより具体的に都市住民が果樹産地へ来訪してもらえるような『都市市場の開拓』を目標にしたい。前年度の調査は10月上旬に実施したが、東日本大震災が発生して半年以上がたっていた。顧客の多くは青森や秋田といった弘前市周辺の住民が多かったが、予想以上に被災地から車で来訪したものが多くいた。フルーツパークは果樹を地域住民や観光客に栽培や収穫といった一連の農作業に親しんでもらい、かつ当該果樹によって地域活性化を図る産業観光施設的な意味合いが強かった。しかし、東日本大震災を経て、被災地住民にとっても、いわば憩いの場となろうとしている。近年、増加していた外国人観光客も震災後、復帰しつつあり、フルーツパークの重要性が地域で増している。今年度は『食農食育』を中心とした調査だけでなく、外国人観光客の顧客満足度も考察したい。また、平成25年の研究計画ではあるが、『郷土・地場料理体験型宿泊施設の経営活動と消費者の熱帯果樹体験評価』も並行して考察したい。農家レストランの施設形態は、民宿やペンション等の宿泊施設と連携して営業している『民泊』も多い。沖縄の民泊では朝夕食を地場産に拘り、来客に提供しているケースも多い。民泊で沖縄の郷土・地場料理が提供される際、副食としての熱帯果樹・加工品が提供される。そこで郷土・地場料理の体験型宿泊施設『民泊』の経営活動と、来客に対して熱帯果樹の体験評価アンケートを実施し、考察したい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の研究費は、沖縄や青森、石川等のフルーツパークの出張旅費が多いと予想されるが、前年度これらのフルーツパーク以外にも、名古屋東谷山フルーツパーク(愛知県)、浜松フルーツパーク(静岡県)へ訪問した。名古屋は立地的に観光客数の多い施設であり、浜松は新しいフルーツパークへと再編している施設であった。これの施設の特徴を考察し、浜松のフルーツパーク再編の方向性を図るための研究費も次年度以降の研究に加えることで出張旅費を使用したい。また、今年度はプリンターが10年目を迎えることもあり、パーソナルコンピューターとともに1台経常し、コンパクトカメラや統計ソフト等も経常したい。
|
Research Products
(12 results)