2012 Fiscal Year Research-status Report
産業観光における果樹産地の地域振興と都市市場開拓に関する実証的分析
Project/Area Number |
23580312
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Research Institution | Kyoei University |
Principal Investigator |
中村 哲也 共栄大学, 国際経営学部, 准教授 (80364876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 敦史 千葉大学, 園芸学研究科, 准教授 (90292672)
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Keywords | 果樹 / 産業観光 / フルーツパーク / 農業公園 / グリーンツーリズム / 地域振興 |
Research Abstract |
平成24年度は、フルーツパークと農業公園、及び民泊施設を含めて、都市農村交流に関する消費者評価を実施した。今回の調査は、地元の食と農に重点を置いて、研究を実施した。研究対象としたフルーツパークはナゴパイナップルパーク(沖縄県名護市)、弘前りんご公園(青森県弘前市)であった。両公園の調査では、公園のリピーターに注目した結果、①「地元農産物や郷土料理」への評価は、訪問回数により違いが示された。②訪問回数による「地元農産物や郷土料理」への重要度は、性別により異なった傾向が確認できた。③「地元農産物や郷土料理」について、世代による違いが確認できた。④訪問回数別の地元農産物や郷土料理の重要度は、沖縄観光においてどのような条件を重視するのかにより、異なった傾向を示した。 他方、フルーツパークと比較するために実施した農業公園の調査は、石川県河北郡津幡町の石川県森林公園で実施した。同公園では、郷土・地場料理体験型施設である農家レストランの経営活動を評価した。調査の結果、①開園時、小中学生だった訪問客が、親世代となった現在、子どもを連れて、リピーターとなっていることがわかった。②リピーターとなっているのは、津幡町や近隣の金沢市や河北郡の訪問客であり、地元住民が求めている農家レストラン食材は地元の食材であった。③同公園では、森林の保全活動を通じて生物多様性の保全の重要性を訴える「MISIAの森」プロジェクトをスタートしているが、地元民の理解も深く、④同公園は森林セラピー基地に認定されているが、地元民の憩いの場として有効に活用されていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度も、平成23年度と同様に、農家レストランの都市農村交流の実態と農家の多面的な活動を考察する予定であった。しかし、研究が計画より順調に進んだため、海外の果樹加工品を扱う業者の多い農村レストランに関する調査を2012年8月下旬から9月上旬に、2013年の対面調査への下準備を実施した。 フルーツパークに関しては、2012年10月21日に実施された地域農林経済学会にて『農業公園訪問客の地域農産物と郷土料理に対する評価―リピーターに着目して―』、および『弘前市りんご公園の顧客特性-東日本大震災後のデータを用いた定量的分析-』というタイトルでそれぞれ学会報告している。 上記の2つの学会報告については、農林業問題研究にて、報告論文として受理されており、7月頃出版予定である。他方、青森県黒石市リンゴ研究所での調査結果については、2012年9月22日に実施された日本農業経営学会にて『リンゴ生産者の栽培不安要因に関する計量分析-青森県内のリンゴ生産者への対面調査からの接近-』というタイトルで学会報告している。 また、日本国際地域開発学会にて報告した課題(沖縄北部地域の農村ツーリズムとその顧客特性-ナゴパイナップルパーク,サンライズひがしを事例として-)については、研究成果をまとめており、平成25年度中に研究成果を論文として投稿する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は最終年度ということもあり、弘前市のりんご公園とナゴパイナップルパークを訪問する外国人観光客の『食農』をテーマとした研究を推進したい。平成23年度、すでに弘前市りんご公園の来訪客に対して、アンケート調査を実施した。同年度はりんご公園の来訪客の顧客満足度や顧客特性を調査したものであったが、今年度は中国人や韓国人観光客が果樹産地へ来訪してもらえるようなフルーツパークを目標に調査を実施したい。平成23年度の調査は、東日本大震災が発生して半年しかたっておらず、訪問客は地域住民や関東や被災地を中心とした日本人観光客が中心であった。しかし、東日本大震災から2年を経て、外国人観光客も復帰しつつあるため、今年度は外国人観光客の顧客満足度も考察したい。 また今年度は、海外の農村レストランを事例とした研究計画を実施したい。具体的にはドイツ・フルダ、アイルランド・ゴールウェイの農村レストランを事例としたい。両国とも、地元の食材を生かし、かつ地元のリンゴやベリーを使ったジャムなどの加工品の販売で成功している。わが国での事例と比較する意味でも、農村ツーリズムが盛んな両国のリピーターの特性を調査したい。 最後に、沖縄県の北部3村(東、大宜味、国頭)では、果樹農家が経営する『民泊』が極めて多い。民泊で沖縄の郷土・地場料理が提供される際、副食としての熱帯果樹・加工品が提供される。ただし、果樹農家は高齢化、過疎化が進み、台風などの自然災害が多くなる中で、その生産量は落ち込んでいる。このような現状の中で、民泊経営から得られる副収入が農家経営に占める割合は年々大きくなっている。そこで、沖縄県の北部3孫を事例として、郷土・地場料理の体験型宿泊施設『民泊』の経営活動と、民泊農家に対して熱帯果樹の体験評価アンケートを実施し、考察したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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