2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23580322
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
笹原 和哉 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター水田利用研究領域, 主任研究員 (70355668)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 「国際情報交流」イタリア共和国 / 水稲直播 / イタリア |
Research Abstract |
平成23年6月,日本農業経済学会にて,「イタリアにおける水稲栽培の現状と国内およびイタリアの生産費比較」として,当研究に関連したポスター報告を行った.本報告は,2011年度同学会ポスター賞を受賞した.本報告の目的は,一つは農業経済研究分野において最も最近に工藤寿郎が示したイタリアの水稲生産についての知見に,現在の知見を整理して更新すること,もう一つは日本における水稲生産費を減少させる上での技術的課題について,提示することである. 工藤文献と現在のイタリアの水稲生産には,主に5点の差異が現れている.(1)イタリアの稲作経営の平均規模が50haに拡大したこと,(2)播種量が20kg/10a程度とかなり日本より多いこと,(2)圃場内にトラクタを進入させて追肥等を行うこと,(4)労働時間が平均23時間/ha程度へ低下したこと,特に播種は13分/haと,きわめて短時間である.(5)新たに寿司用など日本食に使用することを想定した水稲品種が現れていることである. イタリア式の水稲生産の導入によって,生産費減少を達成する上での技術的課題として,本報告では5点の課題の存在を提示した.(1)国内にて無代かき散播直播のメリットがどの程度得られるか把握すること,(2)多量の播種を実施する上で,種苗費の低下方法,(3)散播後に追肥等を行うことにトラクタを用いることによるメリットとデメリットの把握,(4)対応する雑草制御方法,(5)大型化したトラクタの踏圧の影響を把握すること,である. また平成24年3月,内部資料として,「北イタリアにおける低コスト直播稲作に関する報告書」を作成した.この資料は,23年度中に行った文献レビューの結果を反映させ,研究代表者が得た伊文の資料の一部を翻訳したもの,23年度のイタリアにおける調査時の生産者や研究者への聴取調査結果,未公開の報告論文を抄録したものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
必要な文献の翻訳が進んでいる.また,現地における生産者や,研究者との議論を通じて,イタリアにおける水稲生産に於いて,播種直後の管理作業について,日本における直播と比べて特徴があることが推察された.具体的には,代かきのあるなし,直播された種子の置かれる位置の差,除草方法の違い,である.24年度の現地調査において,把握すべきポイントが明らかになった.
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Strategy for Future Research Activity |
24年度4月から6月に,イタリアにおける水稲生産の,初期管理作業を詳細に把握するため,現地調査を実施する.これによって,低コストなイタリアにおける散播直播が安定した結果を示す理由を解明する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題の推進のため,次年度の研究費は,交付申請時の計画どおり使用する.なお,次年度使用額381,677円は,研究費を効率的に使用して発生した残額であり,次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する.具体的には,現地調査における旅費,通訳,当方作成の資料のイタリア語への翻訳,イタリア語文献の日本語翻訳に,研究費を使用する予定である.
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Research Products
(1 results)