2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23580322
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Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
笹原 和哉 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター水田利用研究領域, 主任研究員 (70355668)
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Keywords | 水稲直播 / 低コスト化 / イタリア / 農業経済 |
Research Abstract |
本年はイタリアの水稲産地における現地調査に基づき,I日本より雇用労賃が高く,平均50ha程度のイタリア水稲作において,水稲生産費(1 kgあたりの費用合計)が日本に比べ約1/4程度に低い理由を解明した。IIイタリアの水稲生産技術のうち,日本において導入可能かつ効果のある技術を明らかにした。 I.生産費が少ない要因:①種の単価が著しく安い.②肥料や農薬を中心に資材が安い(米国から輸出される際のFOB価格と比較すると,イタリアはFOB価格の平均に近い価格で生産者が入手しているが,日本は2倍近い.)③農機具費について,イタリアは規模が大きく,減価償却期間は11年とされており,実働は30年を超えることもあり10aあたりの農機具費は日本より割安.④建物費の位置づけが異なる.建物や乾燥調製施設が地主のものであり,農業経営者は地代を支払うと実質無料で建物を使用する制度となっている.⑤省力化が進み,労働時間が3.66時間/10aと日本よりもかなり少ない.時間あたりの雇用労賃自体は日本より実質高く,経営者の省力化への動機づけとなっており,圃場区画の拡大や大型機械による省力化に結びついています。以上,5点を指摘できる。 II.Iの⑤の省力化に至る技術が,日本において導入可能かつ効果のある技術と考えられる.具体的には圃場均平と圃場の拡大を行うレーザーレベラー等の活用を基幹とした無代かきによる耕起整地部分の省力化,極めて高い直播適性を示す品種導入,の2点が考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年間のうち2年目を終了した時点で,研究目標に上げた,「本研究は、国産米の生産費の低下のために、I日本より雇用労賃が高く、平均50ha程度のイタリア水稲作において、水稲生産費(1 kgあたりの費用合計)が日本に比べ約1/4程度に低い理由を解明する。IIイタリアの水稲生産技術のうち、日本において導入可能かつ効果のある技術を明らかにする。III試算とシミュレーションによって、これらを日本に導入した場合における、生産費が低下する効果を明らかにする。」のうち,IIIについて実際に回答を提示したため,順調と回答した.また,結果は学会発表が1回,農林水産省関連の機関紙に2回,農業経営者が読む商業誌へ3回発表し,現在投稿中の論文候補が1本あり,アウトプットも行なっている.
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Strategy for Future Research Activity |
国内のリゾット用米品種生産者や,水稲直播を導入して飼料用米を低コストにて生産する農業経営に対する調査を行い,イタリアの生産の実態と比較する.さらに,試算等によって,新技術を日本に導入した場合における生産費が低下する効果等を明らかにする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題の推進のため,次年度の研究費は,交付申請時の計画どおり使用する。なお,次年度使用額91,651円は,研究費を効率的に使用して発生した残額であり,次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する。 具体的には,国内のリゾット用米品種生産者や,水稲直播を導入して飼料用米を低コストにて生産する農業経営に対する調査を行い,イタリアの生産の実態と比較する。さらに,試算等によって,新技術を日本に導入した場合における生産費が低下する効果等を明らかにする予定である。
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Research Products
(7 results)