2011 Fiscal Year Research-status Report
汚染実態調査に基づく発展途上国で導入可能な生食野菜の生産工程管理手法の開発
Project/Area Number |
23580353
|
Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
稲津 康弘 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所・食品安全研究領域, 主任研究員 (70353927)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 国際研究者交流 / 適正農業規範 / 食中毒 |
Research Abstract |
生野菜に起因する腸管系食中毒菌による食中毒が国内外で問題となっている。これらの菌は家畜糞便に由来し、農業資材あるいは用水を経由して圃場に持ち込まれている可能性がある。生産環境の食中毒菌汚染実態を把握することが、その後の適正農業規範(GAP)推進のためにも求められている。そこで本年度はカンボジア王立農業大学およびダッカ大学(バングラデシュ)に微生物検査の環境を整えるとともに、カンボジアにおいて具体的な実験方法の指導を行った(2012年4月現在、現地研究協力者が研究を継続中)。 その過程において、収集された検体の保存状況がどの程度、結果に影響を与えうるのか知ることが必要とされたため、夏期に国内において土壌および用水検体を対照として、以下のような接種試験を実施した。 異なったRAPD-PCRパターンを示す大腸菌18株を混合した上で接種菌として使用した。大腸菌を接種した土壌またはこれを5%含む地下水を屋外に放置し、定期的に大腸菌の生菌数を測定した。土壌を含む水中に接種した大腸菌の生菌数は、4週間で4.1~1.8log CFU/gほど低下した。同じ土壌に接種した大腸菌の生菌数低下は2.1~1.3log CFU/gであった。初発の大腸菌濃度が3-5 log CFU/gの範囲では、4週間後の土壌中の大腸菌濃度の減少幅と初発濃度との間に明確な関係はみられず、4週間の貯蔵で0.5-2.9log CFU/gの生菌数の減少がみられた。この結果は土壌検体および土壌混入用水の検体を夏の外気温下で1週間以上放置すると、土壌の種類によっては無視できないレベルの生菌数の減少が生じる可能性があることを意味するため、収集された試料は可能な限り速やかに分析に供する必要がある旨、研究協力者に連絡を行った。なお土壌のPCR-DGGE解析の結果と接種大腸菌の生菌数低下の間に明瞭な関係は見いだされなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国内の震災および調査対象国の天災(水害等)の影響により、現地研究施設のセットアップおよび実験技術指導の開始が遅れた。
|
Strategy for Future Research Activity |
当面は現在、進行中である生産環境等試料の微生物試験を継続することで、微生物汚染実態の把握に努める。カンボジアおよびバングラデシュにおける研究推進体制をより強化するため、本年度も少なくとも一度は現地にて共同調査を行う。また収集された菌株のより詳細な同定・評価試験に向けて、可能であれば研究協力者を国内に招聘し、技術指導等を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題の推進のため、次年度の研究費は、基本的に交付申請時の計画どおり使用する。すなわち、上の推進方策に従いおおむね数十万円程度を研究代表者および被招聘者の旅費等に割り当てる。これに加え、おおむね数万~数十万円を研究協力者の謝金等、その他を物品・試薬費または人件費として使用する。その他、研究の進展によっては、国際会議にて研究成果を発表する予定であるため、その費用として研究費を使用する可能性がある。なお、次年度使用額2,163,809円は、国内の震災および調査対象地の天災の影響によって現地調査および国内共同研究の開始が遅れた結果として発生した残額であり、次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する。
|
Research Products
(1 results)