2012 Fiscal Year Research-status Report
汚染実態調査に基づく発展途上国で導入可能な生食野菜の生産工程管理手法の開発
Project/Area Number |
23580353
|
Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
稲津 康弘 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品安全研究領域, 主任研究員 (70353927)
|
Keywords | 国際研究者交流(カンボジア、バングラデシュ) |
Research Abstract |
発展途上国における、生産から消費までの段階における食中毒菌汚染状況を調査した。カンボジアにおいては王立農業大学と協力して、生産環境中の衛生指標細菌等の調査を実施した。1圃場または市場あたり5検体を採取し、定法に従ってMPN5本法にて大腸菌およびサルモネラ菌数を測定した。プノンペン近郊農家の5圃場の土壌からはいずれも3-4log MPN/gレベルの大腸菌(ベロトキシン非産生)およびサルモネラ(血清型不明)が検出され、その原因として未完熟堆肥の使用や用水の汚染等、一般衛生管理の不徹底が疑われた。流通経路をたどって生菌数を調査したところ、出荷された白菜に付着したこれらの菌は流通過程で死滅することなく、小売り段階まで生存する可能性が示された(圃場→仲買→市場でいずれも3logCFU/g台を維持していた)。また国連大学の依頼もあり、バングラデシュにおいて農業指導所関係者等に適正農業規範(GAP)導入推進に係る技術指導を行うとともに、ダッカ大学において現地食品の細菌検査を実施した。野菜を含む市販食品からエルシニアなどを含む複数の腸管系食中毒菌に加え、リステリアや黄色ブドウ球菌も検出され、4-15種類の抗生物質に耐性を有する大腸菌群も分離された。聞き取り調査の結果から、現地では家畜の肥育管理目的で抗生物質の大量投与が行われている可能性があり、それがこのような多剤耐性菌の発生につながっているものと推測された。なお本年度はダッカ大学の研究者を招へいして、国内にて微生物の同定試験および本研究に係る講演会を実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大統領の死亡等、不測の事態もあって、共同研究機関の在する国の政情が一時的に不安定となったこと、あるいは実験機器・器具等の不足もあって、わが国と同じスピード感をもって微生物検査の諸作業を進めることは、容易であるとはいいがたい。とはいえ、国際貢献の観点からも、このような共同研究を進めていくことは重要である。
|
Strategy for Future Research Activity |
カンボジアとバングラデシュに関しては、最低限、必要な実験技術は現地の研究者に習得していただいたので、積極的に現地の検体の分析を進めてもらうとともに、国内において分離された細菌の同定等の作業を進める。そのために少なくとも1名は共同研究相手の研究者を国内に招へいするとともに、こちらからも現地に足を運び、サンプリング調査等を共同実施する予定である。また本年度はラオスにおいて、本研究課題の内容を含んだ国際研究集会を実施する予定であり、現在、準備を進めているところである。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題の推進のため、次年度の研究費は、交付申請時の計画どおり使用する。
|
Research Products
(4 results)