2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23580422
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 剛 京都大学, ウイルス研究所, 助教 (90324847)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ワクチン / デングウイルス / サル |
Research Abstract |
本研究はデングウイルス(DV)における新規DNAワクチンを開発することを目的としている。平成23年度は、以下の研究成果が得られた。1) DVにおけるDNA-basedリバースジェネティクス系の開発 DVのリバースジェネティクス系では、in vitroで合成したウイルスRNAを細胞内に導入することにより組換えウイルスの作出を行う系(RNA-based system)が広く使われている。新規DNAワクチン開発に必須の基盤技術として、細胞内にウイルスcDNAを直接導入することにより、効率の高い組換えウイルスの作出が可能なDNA-basedリバースジェネティクス系の開発を行った。サイトメガロウイルス由来プロモーターおよびD型肝炎ウイルス由来リボザイム配列の間にDV1型全長cDNAを配置したコンストラクトを作製した。作製したコンストラクトを培養細胞にトランスフェクションした結果、24時間後に組換えウイルスの産生が認められた。2) フラビウイルスにおける宿主相同組換え機構を利用した新規リバースジェネティクス系の開発 先行研究で開発に成功したダニ媒介性脳炎ウイルス(TBEV)のDNA-based感染性cDNAクローンを用いて、宿主の相同組換え機構を応用した新規のリバースジェネティクス系の確立を試みた。TBEV DNA-based感染性cDNAクローンを鋳型に全長をカバーするように両末端に各々隣接する領域に対して重複領域を含む3断片のフラグメントを増幅した。増幅したフラグメントを培養細胞にコトランスフェクションした結果、24時間後に~1000 PFU/mlのウイルス価が得られた。デングウイルスについてもこのシステムの開発に成功し、現在、組換えウイルス作出効率の向上に取り組んでいる。 本年度、開発に成功した新規リバースジェネティクス系は本研究課題を遂行する上で非常に有用と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究目的は4価Single-round感染性DNAワクチンの開発を行うことである。DNAワクチン候補となるSingle-round感染性ウイルス粒子産生システムの開発のため、標的細胞内で組換えウイルスを効率的に産生できるDNA-basedリバースジェネティクス系の確立を行うことは必須の研究項目である。 本年度は、この基盤技術の開発に成功し、DV1型におけるSingle-round感染性ウイルス粒子を産生するDNA-basedレプリコンの構築にも着手した。さらに、組換えウイルスを簡便で迅速に作出できる系として、宿主の相同組換え機構を利用したリバースジェネティクス系の開発にも成功したことから、研究目的を達成する上で本年度の研究計画はおおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として以下の研究項目を推進する。1) DV カプシド(C)蛋白質欠損DNA-basedレプリコンの作製 サイトメガロウイルス由来プロモーターおよびD型肝炎ウイルス由来リボザイム配列の間にCタンパク質領域を欠損させたDV1型レプリコンcDNAを配置したプラスミドを構築する。さらに、Cタンパク質をトランスに供給するため、同一プラスミドに独立したCタンパク質発現カセットのクローニングを行う。2) DV prM、E欠損DNA-basedレプリコンの作製 標的細胞にレプリコンcDNAおよび1~4型の構造蛋白質(prM、E)発現プラスミドを構築し、4価Single-round感染性組換えウイルス粒子を作出する系を確立する。3) 新規DNAワクチン候補の評価 培養細胞において、構築した1)、2) のレプリコンシステムにおけるSingle-round感染性ウイルス粒子の産生効率をin vitro(培養細胞)で解析・評価する。Single-round感染性ウイルス粒子の高効率産生系を確立後、サルを用いたin vivo免疫実験を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は実験計画および動物施設の都合上、実験動物を購入できなかったため、研究費に繰越金が生じた。そのため、次年度は本年度に購入できなかった実験動物を繰越金から購入する予定である。次年度請求金額については申請書に沿って、今後の推進方策を実施するため、in vitro実験に必要な分子生物学関連および細胞組織培養関連等の消耗品、実験動物の購入に使用する予定である。
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