2012 Fiscal Year Research-status Report
注射だけで簡便にLH分泌を活発にする持続型キスペプチン剤の開発と臨床応用
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23580440
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
角川 博哉 山口大学, 獣医学部, 准教授 (80370592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 昌宏 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 近畿中国四国農業研究センター, 主任研究員 (60370631)
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Keywords | ウシ |
Research Abstract |
キスペプチンは最近発見された神経ペプチドであり、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)を分泌する神経細胞の活動を刺激し下垂体からの性腺刺激ホルモン(LH)の分泌を活発化する。2010年には非繁殖季節のヒツジに点滴で48時間持続投与すると大部分の個体が排卵し、性周期が再帰する事が海外で報告された。畜産現場で長時間の点滴投与法を繁殖に応用するという事は現実的ではない。そこで、長時間に優れた作用が持続する薬剤を開発し、投与する事で、長時間LH分泌を活発化しウシの繁殖機能を良好にする方法を開発し臨床応用する事が本課題の目的である。天然型キスペプチンは54個のアミノ酸配列であるが、C末端側10個のみのアミノ酸配列であるキスペプチン10に活性中心が有り、良好な生理作用を有する。しかし現状では、キスペプチン10の血中半減期が短くウシを用いた予備実験では作用が持続しない。そこでキスペプチン10の立体構造を参考にした薬剤を合成し、さらに種々の修飾等を加えて血中半減期を延長し、組織浸透性も向上させる。本年度は引き続き、この方針で合成した薬剤候補から選抜された薬剤を、未経産牛に用いた実験を実施した。投与実験では、カテーテルを用いて連続採血を実施し、連続採血の途中で薬剤候補を投与した。その後に投与前後の血中LH濃度の変化をラジオイムノアッセイで分析し、薬剤候補のLH分泌促進作用を調べた。その結果、当該薬剤候補にはin vivoにおいても優れた作用を有する事が確認された。 分担者は、この薬剤候補を牛に反復投与をし、弊害が生じない事を確認する作業を実施した。バイオプシーにより材料を採取し検討した所、枝肉に対する瑕疵の発生等の弊害が無い事が確認された。また抗体価の上昇も認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
種々の修飾等を加えて血中半減期を延長し、組織浸透性も向上させる事を目標とする方針で合成した薬剤候補から選抜された薬剤は、想定していた期間程度でin vitroでの評価を終えた。さらに想定していた期間程度で、未経産牛を用いた投与実験を実施する事ができ、得られた結果も優れた作用を有するという望ましい結果であった。現在、成牛を用いた試験を想定したペースで進行している。したがって予定していた全工程が予定どおりに進捗していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
雌ウシに本研究で開発された薬剤を投与し、卵胞発育や排卵後の黄体形成などに対する効果を調べる。また引き続き薬剤を反復投与しても抗体が作られない事を確認し、また投与部位へのダメージ、さらに枝肉評価に対する悪影響が無い事を確認する。さらに分娩後の牛における性周期再帰に対する促進効果を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引き続き雌ウシを用いた投与試験を展開するための薬剤、また反応性の分析のために研究費を用いる。また投与した牛における効果を検証するために、繁殖機能をモニタリングするための遺伝子発現等を調べるためにも研究費を用いる。
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Research Products
(3 results)