2012 Fiscal Year Research-status Report
イソセレノシアナートおよび関連化合物を用いる有用カルコゲン含有複素環合成
Project/Area Number |
23590023
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Research Institution | Hokuriku University |
Principal Investigator |
指田 春喜 北陸大学, 薬学部, 教授 (70102746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
要 衛 北陸大学, 薬学部, 講師 (70224582)
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Keywords | 含セレン複素環 / イソセレノシアナート / 三重結合 / ヨウ素環化反応 / ベンゾチアジン / ベンゾセレナジン |
Research Abstract |
1. 三重結合を有する基質(NuH)にイソセレノシアナートを作用させることにより,生成するセレノール類の分子内三重結合への付加・環化を基盤とする各種複素環合成研究の一環として,これまでの成果をまとめた。(平成24年度の研究成果,雑誌論文;北陸大学紀要, 2012, 36, 1-15.) 2. 上記1.の閉環反応における基質として,一級アミン,二級アミンにつき詳細に検討を加え,アミン類の級数による閉環様式の違いを明らかにした。(平成24年度の研究成果,学会発表;日本薬学会,第42回複素環化学討論会) 3. イソセレノシアナートの作用による生成するセレノールの環化反応において,三重結合から脱離基(ハライド)に変えることにより2-アミノセレナゾール類の効率的な一工程合成法を確立した。(平成24年度の研究成果,学会発表;第25回ヨーロッパ複素環学会) 4. 上記2.の閉環反応をさらに発展させた親電子環化反応(ヨウ素環化)に応用することにより,適当な位置にヨウ素官能基を有する含セレンおよびイオウ複素環合成に成功し,さらに多置換複素環への変換を行った。(平成24年度の研究成果,学会発表;第38回反応と合成の進歩シンポジウム,第39回典型元素化学討論会) 5. 上記1.の閉環反応により得られたイソセレノクロメン類およびイソテルロクロメン類のm-CPBA酸化を行い,新たな酸化反応が進行することを明らかにするとともに,基質の置換基の有無,種類によりその酸化反応の様式に違いがあることも判明した。これにより,ジスチリルジセニド(ジテルリド)類およびメチリデンセレニド(テルリド)類の効率的な合成法になり得ることが分かった。平成24年度の研究成果,雑誌論文;Tetrahedron, 2012, 68, 10502-10509.)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の目的は,主としてセレン原子源としてイソセレノシアナートを用いることにより,含セレン複素環化合物の創製を行い,その手法を硫黄,テルル元素に発展・展開させることである。あわせて得られた生成物の機能性を検討することである。前年度(23年度)の計画・項目については,概ね順調であった。国内外の専門シンポジウムでの発表以外に6編の論文を公表することができた。本年度(24年度)は,23年度に実施分が比較的順調であった分,その想定外の結果やその機構解明研究をはじめ,学会発表,論文作成などのとりまとめ作業などにやや手間取り,当初予定していた計画(交付申請書,研究計画・方法)項目の検討が質・量ともにやや不十分であった。特にタンデム型の環化反応による新規な多環式含セレン複素環合成については,いくつかの反応系が未検討のまま残ってしまい,25年度に行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には「研究実施計画25年度」に記されている通りに実施する。併せて,前項目(現在までの達成度・理由)に記したように24年度分の予定・計画が未検討であるのでそれも行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予定通り,上記「研究の推進」を行うべく,主として実施・実験に必要なイソセレナシアナート類合成試薬,各種アセチレン類,ガラス器具などの消耗品購入,研究成果公表国内出張費,並びに投稿論文のための英文添削・校閲などの費用に充当予定である。
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Research Products
(7 results)