2011 Fiscal Year Research-status Report
神経栄養因子増強活性天然物6α,7αおよび7α,20-ジヒドロキシアノネンの合成
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23590035
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
江角 朋之 徳島文理大学, 薬学部, 講師 (50315264)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 不斉1,4-付加 / 不斉アルキル化 / 不斉アルドール / テトラアルキル炭素 |
Research Abstract |
テトラアルキル化不斉四級炭素に他の不斉炭素が隣接した構造単位は多くの天然有機化合物に含まれており,その立体選択的かつ効率的な構築法の開発は合成化学的に重要な課題の一つである.しかし,その汎用性のある方法はほとんど知られていない.最近我々は (R)-フェニルオキサゾリジノンを不斉補助基として有する2aの不斉1,4-付加反応 (S)-配置のテトラアルキル四級炭素を有する付加体が高ジアステレオ選択的に得られることを見いだした.我々はそれを基質としたα-アルキル化によりテトラアルキル化不斉四級炭素の隣接位に新たな不斉中心を導入できないか検討した.一方,(Z)-体を基質とし,一連の反応を行うと3位エピマーが生成するものと予想され,立体分岐的合成法となりうることが示唆される.そこで,その反応についても検討することにした.まず,3-ブチン-1-オールを根岸ヨードメチル化,水酸基の保護により(E)-ヨードアルケンへと変換した.次いで,一酸化炭素挿入を伴う(R)-フェニルオキサゾリジノンとカップリングにより,1,4-付加前駆体を調製した.これを不斉1,4-付加反応に付したところ,(3S)-配置を有する付加体が高ジアステレオ選択的に得られた.これをSHMDSで処理した後,CH3I と反応させたところ,メチル体が高いジアステレオ選択性で得られることを見いだした.さらに,種々のハロゲン化アルキルまたはアルデヒドによるα-アルキル化またはアルドール反応を検討した.その結果,ヨウ化アリル,ヨウ化ベンジル,アセトアルデヒドを用いた場合に良好な選択性で目的物を与えることが判明した.一方,(Z)-ヨードアルケンを不斉1,4-付加に付したところ,若干選択性が低下することがわかった.続けて,上記と同様にしてα-メチル化を行ったところ,中程度の収率ながら高ジアステレオ選択的に3-エピ体が得られることも見いだした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のターゲットであるジヒドロキシアノネンの最も導入困難なテトラアルキル炭素の不斉とそれに隣接する炭素上の不斉の導入に成功した.これにより本合成研究の鍵中間体を短段階かつ高エナンチオ選択的に得ることが出来た.
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Strategy for Future Research Activity |
計画に従い,上記で得られた鍵中間体を利用し,ジエンパートとカップリングさせた後,分子内Diels-Alder反応を行ってデカリン骨格の形成を行った後,側鎖部分のフラン環を形成して合成を完了する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験に必要な試薬や器具などの消耗品の購入,研究結果発表のための旅費,論文投稿などに必要な経費に使用する計画である.
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Research Products
(7 results)