2011 Fiscal Year Research-status Report
微細エマルションによるポリフェノールの皮膚への効率的デリバリーとその機構
Project/Area Number |
23590060
|
Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
北河 修治 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (00108911)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | マイクロエマルション / ポリフェノール / 皮膚デリバリー / 真皮移行性 / エアロゾルOT / 1,3-ブタンジオール / 界面活性剤 / レスベラトロール |
Research Abstract |
強い抗酸化作用を有するポリフェノールには皮膚の光老化防御作用が期待されているが、皮膚移行性は悪い。そのため、マイクロエマルション、ナノエマルションといった微細エマルションを利用して効率的なポリフェノールの皮膚デリバリーシステムの確立を目指した。まず本年度は、マイクロエマルションについて検討した。Tween80、スクロースラウリン酸エステル、ポリグリセリンラウリン酸エステル、エアロゾルOT、補助界面活性剤として、エタノール、1,3-ブタンジオール、トランスキュトールを用い、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピルを油相として、マイクロエマルションを調製した。ポリフェノールとしては、レスベラトロール等の親油性のものと、クロロゲン酸等の親水性の比較的高いものとを使用した。エアロゾルOTを用いたマイクロエマルションは、ポリフェノールの親油性ポリフェノールに対して溶解度改善効果は低いものの、皮膚取り込み改善効果は他のマイクロエマルションに比べて大であった。また、この際、エアロゾルOT自身も皮膚の深部に移行していることを明らかにした。このことは、界面活性剤分子と皮膚成分との相互作用が取り込み促進に関与している可能性を示唆している。一方、1,3-ブタンジオールを補助界面活性剤とすることで、エタノールを用いた場合よりもポリフェノールの皮膚中への保持性が改善する傾向が観察された。さらに、Tween80、エアロゾルOTを界面活性剤としたマイクロエマルションを用いた実験結果より、皮膚移行性が促進されたポリフェノールの表皮から真皮への分布はポリフェノールの分子量に依存することが明らかとなった。このことから、真皮での作用や真皮から循環血中へ移行させ全身作用を期待する場合には、フェルラ酸やレスベラトロール等の分子量の小さなポリフェノールを選択する必要があることがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノエマルションについては実験できていないが、マイクロエマルションについては、界面活性剤、補助界面活性剤を変えて、ポリフェノールの皮膚取り込み効率、皮膚中保持率を求めるとともに、エアロゾルOTについて皮膚での分布を明らかにし、マイクロエマルションによる取り込み促進機構の解明に向けて一歩前進した。また取り込み促進されたポリフェノールの表皮から真皮への分布は、ポリフェノールの分子量に依存することを明らかにすることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
ナノエマルションや通常のエマルションについてもポリフェノールの皮膚取り込み促進作用について観察するとともに、促進機構についてもさらに検討を進める。また、ポリフェノールの皮膚中でのタンパク結合等についても明らかにし、皮膚中での存在部位、存在形態についても解明を試みる。さらにin vivoでのポリフェノールの取り込みを観察するとともに、皮膚の紫外線障害に対する防御作用を明らかにする。また、マイクロエマルションによって皮膚取り込が促進された分子量の小さなポリフェノールの全身循環への移行性についても明らかにする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ポリフェノールの購入費、皮膚として主に用いるユカタンマイクロピッグ皮膚の購入費等物品の購入に充てる。また、研究成果を学会で発表するための旅費としても充てる。
|