2011 Fiscal Year Research-status Report
新規膜結合リゾホスホリパーゼDによるリゾホスファチジン酸産生と口腔粘膜保護
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23590079
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
徳村 彰 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (00035560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 保 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (90258301)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | リゾリン脂質 / ホスホリパーゼ / 歯周病 / 口腔粘膜 / 歯肉 |
Research Abstract |
ヒト健常者と歯周病患者の歯肉溝浸出液を採取後、Bligh & Dyer法で脂質抽出を行い、液体クロマトグラフィー・質量分析法で数種のリゾリン脂質メディエーターの総量と分子種組成を解析した。その結果、患者群では、飽和あるいはモノエン型の脂肪酸を有するリゾホスファチジン酸(LPA)濃度が低下するが、多価不飽和脂肪酸を持つLPA濃度が高いことが明らかとなった。LPAの前駆体であるリゾホスファチジルコリン(LPA)の総量は患者群で増加していた。ほとんどのLPC分子種の濃度が増加していたが、多価不飽和脂肪酸を持つ分子種の増加幅の方が高かった。この浸出液にLPCを添加してインキュベートし、LPCからLPAとコリンを直接的に産生するリゾホスホリパーゼD活性を測定した。アルキルエーテル型のLPCを添加した場合にはコリン産生が低く、アシル型LPCを基質とするとコリン産生が高くなることから、本浸出液にはリゾホスホリパーゼD活性はほとんど存在せずLPCを脂肪酸に分解するリゾホスホリパーゼA活性とグりセロホスホコリン:コリンホスホジエステラーゼ活性が高いことが推定された。この活性は健常者と比べて患者群で著しく高値であった。 ヒト頬粘膜と歯肉粘膜由来の上皮系腫瘍細胞株を培養し、外因性LPCとインキュベートしコリン産生活性を測定し、これらの細胞がエクト型のリゾホスホリパーゼD活性を持つことを明らかにした。これらの結果より、唾液腺から流れてくる唾液中のLPCを口腔粘膜のエクト型リゾホスホリパーゼDが捕捉し生理活性の強いLPAを産生し、粘膜機能の恒常性維持に寄与していることが示唆された、
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト体液のリゾリン脂質メディエーターを網羅的に液体クロマトグラフィー(LC)・質量分析法で網羅的に分析し、それらのデータを本年度経費で購入したMarkerLynx XSソフトウエアーで多変量解析を行い、バイオマーカーとして有用な脂質を割り出すことができた。また、タンデム質量計をLCと共役させる高感度の方法を用いることにより、0.001-0.005 mlと微量の口腔内体液中の微量のリン脂質を測定できた。 2種の口腔粘膜由来の上皮細胞表面にリゾホスホリパーゼD活性を検出でき、それらの酵素学的性質に関する知見を得た。 リゾホスファチジン酸を含むリゾリン脂質メディエーターによる口腔粘膜上皮細胞活性化に関する知見も得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
低容量の歯肉溝浸出液に極微量で含まれるリゾホスファチジン酸などの高極性リゾリン脂質を精度良く定量するために、LC部分をノーマルからマイクロに装備の機能を向上させ、より高感度な定量法を構築する。 口腔粘膜上皮細胞で捉えたリゾホスホリパーゼD活性のタンパクや遺伝子の実体を明らかにするための実験を行う。 リゾホスファチジン酸を中心とするリゾリン脂質メディエーターの口腔粘膜のバリアー能に強化や炎症調節や創傷治癒作用に関する効果を総合的に解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主要な経費は消耗品の購入に充てる。一部は、研究成果の発表は関連分野の研究動向の調査のための旅費と研究補助の謝金に使用する。
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