2012 Fiscal Year Research-status Report
新規膜結合リゾホスホリパーゼDによるリゾホスファチジン酸産生と口腔粘膜保護
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23590079
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
徳村 彰 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (00035560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 保 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (90258301)
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Keywords | リゾホスファチジン酸 |
Research Abstract |
歯周病患者と健常者の歯肉溝浸出液を採取し、脂質を抽出し液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析法でリゾホスファチジルエタノールアミンの分子種分析を行った。歯周病患者の方が、総濃度は低値であった。 マウス骨芽前駆細胞MC3T3-E1細胞を分化誘導後、無血清培地下でリゾリン脂質を添加しインキュベート後、培養液と細胞回収液のリゾリン脂質の変動を液体クロマトグラフィー・タンデム質量分析法で定量した。また、その代謝物を酵素共役蛍光法で定量した。その結果、MC3T3-ECは,分化1週間にはリゾホスホリパーゼCを、2週間後には、リゾホスホリパーゼDを発現することが明らかとなり、分化が進むと、リゾホスファチジン酸を含むリゾリン脂質メディエーターの産生が順次、誘導されることが推定された。 以上の結果から、歯肉溝浸出液に高濃度に含まれるリゾリン脂質が歯肉粘膜のみならず歯槽骨にも作用し、骨リモデリングに関与すること、並びに歯周病患者では、リゾリン脂質メディエーターの産生・代謝系が異常が歯槽骨吸収に一部、寄与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リゾホスファチジン酸を中心とするリゾリン脂質メディエーターが、唾液のみならず、歯肉溝浸出液のような口腔組織液にも高濃度に存在していることを明らかにしており、これら生理活性リン脂質が高濃度で口腔粘膜の管腔側から作用しうることを明らかにした。また、歯周病患者では、その濃度が低下し、粘膜機能の抑制に関与することが強く示唆されており、研究の命題に関してかなりの前進といえよう。 更に、リゾリン脂質メディエーターが骨芽前駆細胞が分化すると産生されやすくなり骨リモデリングにも直接的に作用できることが明らかとなった。 これらの結果より、リゾホスファチジン酸などのリゾリン脂質を有効成分とするオーラルケア製品開発のための基礎がより固まった。
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Strategy for Future Research Activity |
骨髄由来幹細胞などの間葉系幹細胞を用い、その分化にリゾホスファチジン酸などのリゾリン脂質メディエーターがどのような作用を示すか解析すると共に、その産生・代謝酵素や受容体の分化誘導の可能性も調べる。 頬粘膜などの口腔粘膜の上皮細胞のバリアー機能や抗菌・抗炎症機能に及ぼすリゾリン脂質メディエーターの効果を調べる。 上記の検討が加わると、リゾリン脂質メデェーエーターが歯周病やドライマウス症状の低減や予防に関する有効性が高まり、これらのオーラルケア製品の開発のための基礎がより強固になると期待される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者が、直接経費700,000円、研究分担者が100,000円の配分とする。国内外で1回ずつ、成果発表を行うための旅費を計上しており、残りは消耗品の購入に充てる。設備費、謝金は計上しない。次年度への繰越額は消耗品の購入に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)