2011 Fiscal Year Research-status Report
M1及びS9ファミリーに属する高分子量ペプチダーゼの構造解析
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23590081
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
伊藤 潔 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (50201926)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | M1ファミリー / S9ファミリー / ペプチダーゼ / X線結晶構造解析 / オリゴペプチダーゼB / アミノペプチダーゼN / ピューロマイシン感受性 |
Research Abstract |
平成23年度はM1ファミリー酵素であるヒトアミノペプチダーゼN(hAPN)とピューロマイシン感受性アミノペプチダーゼ(hPSAP)とS9ファミリー酵素であるオリゴペプチダーゼB(OPB)を中心に研究を行った。M1ファミリー酵素群には、脳に豊富に存在し神経ペプチドの分解に関わるピューロマイシン感受性アミノペプチターゼ(hPSAP)やコロナウイルスのレセプターとして機能するアミノペプチダーゼN(APN)等が含まれ、構造の解明によりこれらの重要な機能を制御する可能性が高まると期待できる。また、ある種の微生物感染過程に重要な役割を果たしているOPBの構造解明により新たな化学療法の道が開ける可能性があり重要である。 すでに構築していた大腸菌発現系を用いてhAPNとhPSAPの発現条件の検討を行い、hPSAPについては18℃の低温条件において活性を有する可用性酵素の発現に成功した。Hisタグ付加酵素についていくつかの結晶を得ることができたが、さらに良好な結晶を得ることを目的として、タグなし酵素の発現系も構築し、精製酵素を得ることにも成功した。この酵素を用いて結晶化条件の検討を再度行う計画である。hAPNについては、少量を可溶性タンパク質として回収することには成功したものの、その酵素活性はきわめて低く、さらに条件を検討する必要がある。 一方、OPBについて、数種類の細菌より遺伝子をクローニングして大腸菌発現系を構築した。ほとんどの酵素について活性を有する酵素を精製することにも成功した。種々の合成基質を用いて基質特異性を比較したところ、OPBの特徴とされている基質阻害現象を示さない酵素があり、その原因の解明を含めた構造解析研究を進めるため結晶化条件の検討を行った。現在までに複数の結晶を得ることに成功したので、これらの条件を最適化してX線結晶構造解析へと進展させる計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すべての酵素についてではないが、発現酵素を得ることに成功して、構造解析に不可欠な結晶を得ることにも部分的にではあるが成功した。OPBについては、予期せぬ基質特異性を有する酵素を見いだすことができ、構造解析への準備を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ほぼ順調に研究を進めることができているので、各酵素の結晶化条件の最適化を行い、データ収集を行ってX線結晶構造解析による構造決定へとつなげるよう研究を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
酵素の発現精製と結晶化に必要な器具、試薬類の購入するとともに、研究環境の変化に伴う機器類の補充に私用する計画である。
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