2011 Fiscal Year Research-status Report
Gq蛋白質共役型受容体の細胞内選別輸送機構に関する研究
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23590119
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
菱沼 滋 明治薬科大学, 薬学部, 准教授 (70211505)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | G蛋白質共役型受容体 / ヒスタミンH1受容体 / Internalization / Down-regulation / クラスリン / ユビキチン / リソソーム / プロテアソーム |
Research Abstract |
受容体は生体機能の中心を担う。当該研究では、G蛋白質共役型受容体の生理的・病理的・薬理的変動機構の解明を目的として、神経系でも免疫系でも重要な役割を果たしているGq蛋白質共役型ヒスタミンH1受容体に焦点を当て、H1受容体の細胞内選別輸送機構を明らかにする。特に、 (1) H1受容体のInternalizationにおけるクラスリン/カベオラ選別機構 (2) H1受容体のDown-regulationにおけるプロテアソーム/リソソーム選別機構(プロテインキナーゼC/ユビキチン/プロテアソーム経路を介した即時型Down-regulation及びCaM キナーゼII/リソソーム経路を介した遅発型Down-regulation)の解析により、個々の受容体に備えられた細胞内選別輸送機構の詳細を分子レベルで明らかにする。 Down-regulationに関与するH1受容体のリン酸化部位として、第2細胞内ループ(Thr140・Thr142)、第3細胞内ループ(Ser396・Ser398)及びC末端(Thr478)の5ヶ所のセリン・スレオニン残基が報告されている。当該年度は、様々なリン酸化酵素によってリン酸化されると推定されている第3細胞内ループSer398に着目し、Ser398をアラニンに置換した変異H1受容体(S398A)発現CHO細胞を用いて解析した。その結果、S398Aは、ヒスタミン30分間刺激に伴いInternalizationは生じるが、即時型Down-regulationは受けないことが明らかとなった。従って、ヒスタミン刺激に伴うSer398のリン酸化が、PKC/ユビキチン/プロテアソーム選別輸送の引き金となり、H1受容体の即時型Down-regulationが誘導される可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究では、(1) H1受容体のInternalizationにおけるクラスリン/カベオラ選別機構及び(2) H1受容体のDown-regulationにおけるプロテアソーム/リソソーム選別機構(プロテインキナーゼC/ユビキチン/プロテアソーム経路を介した即時型Down-regulation及びCaM キナーゼII/リソソーム経路を介した遅発型Down-regulation)の解析により、個々の受容体に備えられた細胞内選別輸送機構の詳細を分子レベルで明らかにすることを目的としている。初年度にあたる当該年度は、プロテインキナーゼC/ユビキチン/プロテアソーム経路を介した即時型Down-regulation機構として、第3細胞内ループSer398が関与している可能性を明らかにすることができ、目的の達成に向けて好発進できたものと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)H1受容体のInternalizationにおけるクラスリン/カベオラ選別機構siRNA法を用いてアレスチン2及びアレスチン3をKnockdownすることにより、H1Rのクラスリンを介したInternalizationに関与するアレスチンサブタイプを同定する。また、アレスチンとの相互作用の欠如がクラスリン/カベオラ選別輸送に関与する可能性を明らかにする目的で、アレスチンKnockdownによってH1RのInternalizationがカベオラ経路に変換されるか否かを明らかにする。(2)H1受容体のDown-regulationにおけるプロテアソーム/リソソーム選別機構プロテインキナーゼC/ユビキチン/プロテアソーム経路を介した即時型Down-regulationには、第3細胞内ループSer398が関与する可能性が明らかとなったことから、次に、CaM キナーゼII/リソソーム経路を介した遅発型Down-regulationに第2細胞内ループ(Thr140・Thr142)が関与する可能性を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本実験系では、培養細胞を用い、放射性リガンドによる受容体結合実験、抗体を用いた免疫組織染色などを行う。従って、試薬類として、受容体に対する放射性リガンド、各種抗体、細胞培養用試薬、また、器具類として、培養フラスコや培養ウェルなどが必要となる。 交付予定額(直接経費:1,000千円、間接経費:300千円)は、当初の計画通り、放射性リガンド([3H]pyrilamine:100千円/9.25 MBq×2本=200千円)、抗体(抗H1受容体抗体など:50千円/1本×4本=200千円)、牛胎児血清(30千円/1本×10本=300千円)、培養フラスコ(30千円/1箱×10箱=300千円)、培養ウェル(30千円/1箱×10箱=300千円)などに使用する予定である。
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