2011 Fiscal Year Research-status Report
環境内発がん性N-ニトロソ化合物の新規活性化経路の解明
Project/Area Number |
23590152
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
望月 正隆 東京理科大学, 薬学部, 教授 (10072414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲見 圭子 東京理科大学, 薬学部, 講師 (00271247)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | N-ニトロソジアルキルアミン / 代謝活性化 / フェントン試薬 / ヒドロキシルラジカル / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
環境内に存在するN-ニトロソ化合物は、ヒト体内でも生成する強力な発がん物質であり、ヒトがんの原因として重要な位置を占める。N-ニトロソジアルキルアミンはシトクロムP450によってα-水酸化体を形成し、DNAをアルキル化することが明らかになっている。本研究では、酸化的代謝モデルとして修飾Fenton試薬を用いてN-ニトロソ-N-メチルブチルアミンの代謝生成物および代謝中間体を同定したところ、直接変異原として5-methyl-5-nitro-1-pyrazoline 1-oxide (mutagen X) を同定した。つまり、α-水酸化体以外の活性体の存在を明らかにした。しかし、構造決定したmutagen Xの反応液の変異原活性への寄与を明らかにしたところ、より強い変異原物質の存在が明らかになった。本研究では、活性酸素とN-ニトロソジアルキルアミンとの反応液中からmutagen X以外の直接変異原を単離し同定する他に、推定代謝中間体からの活性化体を推定し合成することで、N-ニトロソ化合物のα-水酸化以外の新たな活性化経路を証明する。 本年度は、一酸化窒素の共存下、N-ニトロソ-N-メチルブチルアミンを修飾Fenton試薬 (Fe2+-Cu2+-H2O2) で処理し、有機溶媒で抽出した後、抽出物を分画し、得られた分画について変異原性を試験することを繰り返し、最も活性の高い分画について、mutagen X以外の変異原の単離を試みた。一方、mutagen Xの生成機構に基づいて、活性中間体の構造を推定し、別途で合成を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一酸化窒素の共存下、N-ニトロソ-N-メチルブチルアミンを修飾Fenton試薬 (Fe2+-Cu2+-H2O2) で処理し、有機溶媒で抽出した後、シリカゲルカラムによる精製と変異原性試験を繰り返したが、分離操作を繰り返すことで変異原の収量および活性も低下し、最も活性の高い変異原の単離に至っていない。また、推定活性体を1-nitropropeneとニトロイミン類による付加環化により別途合成しているが、目的物は得られていない。いずれも変異原が不安定であることが原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
変異原の単離では、シリカゲルカラムによる分離を手際よく行うことと、分取HPLCを組み合わせることで、短時間での変異原の単離を目指す。推定中間体の合成では、化合物に長鎖アルキル基や芳香環を導入することで、合成しやすい化合物とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試薬やガラス器具などの消耗品を購入する。
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