2011 Fiscal Year Research-status Report
CYP3A遺伝子クラスター導入マウスを用いたヒトにおける性差の研究
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23590170
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小林 カオル 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (30255864)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | CYP3A / 遺伝子導入 / 性差 |
Research Abstract |
薬物代謝酵素であるシトクロムP450 3A(CYP3A)の活性は女性の方が男性よりも高く、CYP3Aの基質となる薬物を静脈投与した時のクリアランスには性差が認められるとの報告がある。この理由として、肝臓におけるCYP3Aの発現量は女性の方が男性よりも高いが、小腸では差がないこと、そしてその発現制御には女性ホルモンとその受容体が関係している可能性が示唆されている。本研究の目的は、この可能性を、世界で初めてすべてのヒトCYP3A分子種の遺伝子クラスターを上流域を含めて導入発現させた「CYP3Aヒト型マウス」を用いて検討することである。平成23年度は、雌雄のCYP3A-HACマウスの肝および小腸を用いて、CYP3A活性および発現量に性差が有るか否かを調べた。肝ミクロソームにおけるトリアゾラム水酸化活性は雌の方が雄よりも約2倍高かったのに対し、小腸ミクロソームにおける活性は雌の方が低かった。また、肝組織におけるCYP3A4 mRNA量も雌の方が雄よりも約2倍高かった。一方、小腸組織におけるCYP3A4 mRNA量は雌の方が雄よりも低かった。さらに、雌雄ともに6週令では2週令よりも著しく高い活性を示したが、雌では10週令でさらに高い活性を示し、その後急激な活性の低下が認められた。一方、雄では6週令以降活性の大きな変化はなかった。これらの結果から、CYP3Aヒト型マウスの肝におけるCYP3A4の発現量および酵素活性は雌の方が雄よりも高いことが明らかとなった。また、雌の肝におけるCYP3A活性が加齢にともなって低下したことから、CYP3Aの発現が女性ホルモンによって調節されている可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の4項目すなわち、1)CYP3A-HACマウスの肝および小腸CYP3A活性、CYP3A発現量の性差、2)CYP3A-HACマウスにおけるCYP3A分子種発現量の性差、3)CYP3A発現量と週令との関係(加齢による影響)、4)エストロゲン投与によるCYP3A発現への影響、のうち1)から3)の3項目について達成した。4)については、実験に用いるマウス数を十分に確保できなかったため、平成24年度に実施する。代わりに、平成24年度に実施を計画している項目(CYP3A-HACマウスの初代培養肝細胞におけるCYP3A発現量におよぼすエストロゲンの影響)の予備検討として野生型マウスの初代培養肝細胞におけるCYP3A11発現量におよぼすエストロゲンの影響を調べた。以上より、順調に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の検討により、CYP3Aヒト型マウスの肝におけるCYP3A4の発現量に性差が存在することが明らかとなった。この結果に基づき、平成24年度は、CYP3A発現量の性差が薬物体内動態に影響を与えるか、および女性ホルモンがCYP3Aの発現に影響を与えるかを明らかにするため、以下の検討を行う。1)雌雄CYP3A-HACマウスにおける薬物動態の比較:CYP3A基質を雌雄CYP3A-HACマウス(10週令、各3匹)に投与(経口、静脈内)し、それぞれの血中動態を比較する。2)妊娠によるCYP3A発現への影響:妊娠CYP3A-HACマウスの肝および小腸におけるCYP3A分子種の mRNA量を同じ週令の非妊娠CYP3A-HACマウスと比較する。CYP3A4のタンパク量と代謝活性についても比較する。3)エストロゲン受容体α発現量とCYP3A発現量との関係:雌雄CYP3A-HACマウスの肝および小腸組織におけるエストロゲン受容体αのmRNA発現量とCYP3A発現量との相関性を調べる。4)CYP3A-HACマウスの血中エストラジオール濃度とCYP3A発現量との関係: CYP3A-HACマウスの血中エストラジオール濃度とCYP3A発現量との関係を調べる。5)CYP3A-HACマウスの初代培養肝細胞におけるCYP3A発現量におよぼすエストロゲンの影響:CYP3A-HACマウスの初代培養肝細胞に17β-estradiol (10 nM)を曝露し、CYP3A分子種発現量への影響を調べる。エストロゲン受容体α発現量についても解析し、CYP3A発現量との関係を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
連携研究者との打ち合わせ旅費として5万円(羽田-鳥取間の航空券および一泊分の宿泊費)×2回試薬、英文校正費として5万円、実験器具等の消耗品費として135万円を使用する。
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Research Products
(1 results)