2013 Fiscal Year Annual Research Report
アルコールの脂質代謝産物が各種細胞の情報伝達系に及ぼす効果の機能形態学的な検証
Project/Area Number |
23590241
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 洋一 岩手医科大学, 医学部, 教授 (40118253)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋野 朝幸 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (40305991)
東尾 浩典 岩手医科大学, 公私立大学の部局等, 講師 (50342837)
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Keywords | 脂肪酸エチルエステル / 細胞内カルシウム濃度 / 膵腺房細胞 / 血球 / 細静脈 |
Research Abstract |
アルコール飲酒に伴い、各種の脂肪酸エチルエステル(FAEEs)が体内で生成され、膵腺房細胞や血球細胞では、FAEEsによって細胞内情報伝達系の乱れが引き起こされると報告されてきたことから、各種FAEEsに対する反応を、血管系、血球系(腹腔由来のマスト細胞と単核細胞、末梢血白血球)、外分泌系(膵臓外分泌部)で検討した。 実験には高速共焦点レーザー顕微鏡を用い、蛍光色素としてIndo-1を負荷した。一昨年度までは、膵腺房細胞で細胞死に至る組織・細胞が観察されたにもかかわらず、[Ca2+]i変動が観察されにくかった。昨年度に引続き純化したBSAを使用して実験をおこなったが[Ca2+ ]i では変化が少なく、先行研究で記載されているほど、[Ca2+]i上昇による細胞障害は重要でないように思われた。私どもは生体組織構造を維持した生組織標本を用いているのに対し、理化学研究所では単離細胞を用いている。組織形態を保っていることで、細胞に対するダメージが軽減されたものと思われる。ラット腹腔から得られた血球系の細胞では、Palmitoleic Acid Ethyl Esterで一部の単核細胞で急激な[Ca2+]i変動を引き起こしたが、それはFAEEを溶解したDMSOによる人工産物であることがわかった。 なお、この実験をおこなうに際し、血管径へ及ぼす影響を調べるため、細動脈に加え細静脈標本の作成を企図し、それに成功した。細動脈の平滑筋細胞が紡錘形であるのに対し、細静脈の平滑筋細胞は多角形であり、機能的差異を伺わせた。実際、種々の生理活性物質に対する反応性は異なっていた。今回の実験ではFAEEによる細胞障害は証明できなかったものの、副次的ではあるが興味深い知見を得ることが出来た。
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Research Products
(2 results)