2013 Fiscal Year Annual Research Report
2型PI3キナーゼα酵素による細胞内小胞輸送調節を介した物質・情報交換制御の機構
Project/Area Number |
23590257
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
吉岡 和晃 金沢大学, 医学系, 助教 (80333368)
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Keywords | PI3キナーゼ / 内皮細胞 / 血管新生 / ノックアウトマウス / 細胞内小胞輸送 / 血管透過性 / VE-カドヘリン / 蛍光ライブイメージング |
Research Abstract |
PI3キナーゼ(クラス1型および3型)は生命維持に必須の脂質合成酵素であるが、クラス2型PI3Kの生理機能は未だ不明である。申請者らは、クラス2型PI3Kα酵素 (C2α)KOマウスが血管新生の著しい異常を呈し、胎生致死となることを2012年に発見・発表した。本年度は、血管内皮細胞におけるC2αの細胞内小胞輸送のダイナミックスと細胞内シグナル伝達における役割を解析した。まず、内皮細胞内でのエンドソーム輸送におけるC2αの役割を明らかにするために、C2α活性産物であるPI(3)P特異的なGFP標識FYVEドメイン蛍光プローブを用いたライブイメージングを行った結果、C2αノックダウン細胞においてエンドソーム数の減少と運動性の低下が観察されたことから、C2αはエンドソーム膜におけるPI(3)P産生とエンドソーム輸送に必須であると考えられた。また、この結果を反映するように、内皮接着分子VE-カドヘリンの細胞間接着部位へのエンドソーム輸送が障害され、血管透過性の亢進が見られた。更に、この小胞を介したVE-カドヘリン輸送における低分子量Gタンパク質RhoAの関与を調べる目的で、RhoAのFRETプローブを用いた生細胞ライブFRETイメージングを行った。RhoAはVEGF刺激によりFYVE陽性エンドソーム上および細胞間接着部位において強く活性化した。しかし、C2αノックダウン細胞では、これらRhoAの活性化は消失したことから、初期エンドソーム及び細胞膜におけるRhoA活性化にPI3K-C2αが必須であることが示された。以上のことより、内皮細胞に高発現するC2αは、細胞内小胞輸送のうちエンドソーム輸送の制御を介してVEカドヘリン輸送および小胞上でのRhoA活性化を調節し、内皮バリア機能や細胞内シグナル伝達に必須なPI3Kアイソフォームであることが示唆された。
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Research Products
(12 results)